12月に入ったので、そろそろ大河の方でも清盛の最期をやるのではないかしらんと思い、ならば皆さんにも原文で味わっていただこうとこの演目を選びました。
さてまずはあらすじを見てみましょう。
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清盛の独裁ぶりは貴族・寺社・武士などから大きな反発を受け、平家はいよいよ孤立するようになりました。伊豆の流人源頼朝に続き木曽義仲が立ち上がり、諸国に待機していた反平家の勢力は次々と蜂起。日本全国、反平家ののろしが上がり、この世は今にも滅びてしまうのではないかと人々は不安に思いました。東国・北国での反平家の勢力を追討すべく、2月26日清盛の二男宗盛は自ら大将軍として出陣することを宣言。しかし出陣前夜、清盛が急に発病したため、出発は延期となります。清盛発病の噂はたちまち都中に広がり、平家お膝元の六波羅でも「それ見たことか」と囁かれました。
清盛の熱は身を焼くほどの異常なもので、周りの人間が4、5間以内に入ると熱くて耐えられないほどでした。清盛は「あたあた」とうわごとを言うばかり。比叡山から汲んできた水風呂に入って冷やそうとすれば水は沸騰して湯になり、水をかければ焼けた鉄に水をかけた時のようにたちまち黒煙となって殿中に渦巻きました。まるで法蔵僧都が見てきたという、八大地獄のひとつ、焦熱地獄のような光景でした。
そんなとき、妻、二位殿が身の毛のよだつ恐ろしい夢を見ました。猛火の車が邸の中に入ってきて、地獄の閻魔大王の使者たちが、奈良の大仏を焼いた罪を受けて無間地獄に堕ちる清盛を迎えに来るという夢でした。夢から覚めた二位殿は、金銀財宝を残らず神仏霊社に寄進して祈らせましたがその効果はありませんでした。
清盛の死を悟った二位殿は、耐え難い熱さでしたが、枕上に寄り添って、遺言があるか訊ねると、清盛は「思い残すことは何もないが、頼朝の首を見なかったことだけが無念である。自分が死んだらお堂を建てたり供養をするな、そのかわり頼朝の首をとり、我が墓の前にかけよ。それが一番の供養だ」と罪深い言葉を述べました。
閏2月4日、清盛は悶絶しながら絶命します。享年64歳。老い死にと言うほどではないけれど、宿運尽きたのでもうどうしようありません。忠節を誓った臣下は数多くいましたが「死」という目に見えない敵に対してはどうすることも出来ませんでした。日頃犯した罪だけが従者となって、たったひとり地獄へ旅立っていきました。同7日、愛宕で火葬にし、遺骨は摂津国の経の島に納められました。日本全国に名をあげ、威をふるったひとであったのに、その身は煙となって都の空へ立ち上り、屍は経の島の浜辺の砂となって空しい土となったのです
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…まさに、たけきものもついには滅びぬ。諸行無常です。
このお話、私は始め、清盛は現代医学で言うとどういう病気で死んだんだろう??と不思議に思いました。発病してから10日くらいで高熱で死んでいく。他の人にうつる様子はないので流感ではなさそうだし…内臓は悪くなってないし…。水は沸騰しちゃうし、熱くて人が近づけないし〜〜。それに、奥さんの二位殿が見た地獄の夢に対する恐ろしがり方が尋常じゃなく、そのあたりもふくめていまいちピンと来なかったのです。
で、調べました。地獄のことを。(図書館でも本をあれこれ借りましたが、ウィキペディアがかなり分かりやすいのでぜひご一読下さい。)
そうしたら、地獄がものすごくシステム化されていて面白いのです!(っていったら罰が当たる??)当時は地獄の存在を皆が本当に信じていた時代でした。殺生、ウソ、邪淫、飲酒、親殺し、僧侶殺しなど、犯した罪の多さ・大きさに合わせて、落ちていく地獄のレベルは決まっており(八大地獄)、それぞれの地獄で受けるおそろしい拷問の種類(剣の山で引き裂かれたり灼熱の炎で身を焼かれたり…それはもうすごいんです)なども決められていました。
そして、何よりも興味深かったのが、それぞれの地獄には寿命が定められていて、一番軽い地獄でもなんと人間の時間に換算して1兆6653億年!!一番重い無間地獄に至っては、その期間1中劫=半永久的!!!に、無間地獄から次へ転生することが出来ないのです。ぎょえ〜〜〜!!!つらい、つらすぎる!!ってことは、清盛は今現在まだ無間地獄に滞在中?今行ったら会えるってこと?なんて思いながら、解説をよくよく読むと、無間地獄に落ちるのに真っ逆さまに落ち続けて2000年かかると書いてあるではありませんか!!清盛まだ落下中です。無間地獄にたどり着いてません。
そして、焦熱地獄のところにこうも書いてあるではありました。「この地獄に落ちる罪人は、死の三日前から中有(転生待ち)の段階にも地獄と同じ苦しみを受ける。」これか〜!!つまり、清盛は己が落ちていく無間地獄の苦しみを生きながらうけつつ死んでいったわけですね。なんだかもう読み終わってぐったり。。納得です。
面白がって書きましたが、地獄の様子をリアルに想像し、その存在を信じていた時代、死んださきに恐ろしい苦しみが待っているのはものすごい恐怖だったわけです。重衡もきっとそうですね。
だから人々はこの世で行い正しくあろうと努めたのです。
本から目を上げ、ふと、テレビのニュースに映った政治家の顔を見ながら、この人達に「地獄の思想」をもう一度教育してやったら、もうすこしまともになったかも知れなかったのに、と思いました。
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以上、今回のあらすじと見どころでした。ご参考までに。至らぬ点はご容赦願います。
では、劇場でお待ちしております!
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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子
構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会
【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分
【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。
【チケット取扱・お問合せ】
平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp
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