2013年6月27日木曜日

レパートリーを数えてみたら

これまで上演した平家物語の章段をあげてみます。

●第1回公演(2011.9 まつもと市民芸術館小ホール)
倶利伽羅落
実盛
木曾最期

●第2回公演(2012.4 座・高円寺2)
祇園精舎
祇王
橋合戦
坂落
先帝身投

●第3回公演(2012.12 座・高円寺2)
祇園精舎
足摺
千手前
入道死去

●千葉日本寺公演(2012.10)
祇園精舎
足摺
千手前
鶏合壇浦合戦

自分で言うのもなんですが…1年半の間にずいぶん頑張りました!
そして
この秋、10/22,23には第4回公演が決定!
上演する章段は


奈良炎上
維盛都落
能登殿最期

を予定しています!
かなりマニア好みになってきましたね〜フフフ。
どうぞお楽しみに!

2013年6月7日金曜日

芸文講座「声に出して読む平家物語」始まりました!

昨日から、新しい講座が始まりました。武蔵野市芸術文化協会が主催する初心者向け講座の1つとして半年間10回にわたって、平家物語を学んでいきます。
今日は初回で、開講式(!)がちゃんとあり、講師紹介までされてちょっと照れてしまいました。
既に申込みは締め切られましたので、これからあらたにご参加頂くことは難しいのですが、とってもすてきな会場で、とっても意欲的で個性溢れる皆さんがお集まりくださったので、ちょっとご紹介したいと思います。

この講座は、武蔵境にある松露庵でやっています。


ね、すてきでしょう?
左側には庭園もあり、ここだけ時間が止まったような、本当に静かな居心地のいい所なんですよ。隣接する桜堤団地の緑もすばらしく、自宅から玉川上水沿いに自転車で片道15分。久々に武蔵野の緑を満喫しました。

講座には募集人数を上回る多くの方に応募頂き本当に嬉しく思っております。抽選も忍びないので、全員に受講していただくこととし、19名の方々と一緒に学ぶことになりました。通常は5〜6人でじっくり声を出していただくので、正直、これだけの大人数に毎回どうやって声を出していただいたらいいのか、かなり工夫しないといけないのですが、平家を読む面白さを少しでも感じていただき、次なる興味を持って頂けたらいいなと思っています。がんばります。

最年は1925年生まれ、1930年生まれの方々も!声も姿勢も本当に若々しくて、もう、びっくり!人生の大先輩だらけの生徒さんに、私なんかがお教えするなんておこがましいのですが、またまた、体を張って楽しく解説していきたいと思っています。
半年で皆さんがどう変わっていくか、楽しみです!

2013年5月22日水曜日

DVD「平家物語 語りと波紋音」できました!

DVD平家物語2(2012年12月公演)
「祇園精舎」「足摺」「千手前」「入道死去」を収録。


金子あい×永田砂知子の「平家物語 語りと波紋音」公演がDVDになりました!
座・高円寺2で行われた、昨年4月と12月の公演をそれぞれライブ録画したものです。舞台の雰囲気を味わっていただきながら、各章段の語りをお楽しみ下さい。


*************************

●「平家物語」vol.1 
 —祇園精舎・祇王・橋合戦・坂落・先帝身投—
(2012年4月公演を収録 73分 税込2,000円)


●「平家物語」vol.2
—祇園精舎・足摺・千手前・入道死去—
(2012年12月公演を収録 61分 税込2,000円)

※あらすじの載ったパンフレット添付。

*************************

DVD平家物語1(2012年4月公演)
「祇園精舎」「祇王」「橋合戦」「坂落」「先帝身投」を収録。

●DVDのご購入方法
1、メールで希望枚数、お名前、ご住所、ご連絡先ご記入の上お申し込み下さい。

2、代金+送料をお申込時にメールでお伝えする口座にお振り込み下さい(※振込手数料はご負担下さい)。

【DVD】@2,000円(税込)×枚数
【送料】370円(レターパックライト)

3、お振込確認後DVDを発送いたします。     

お問合せ:art unit ai+ 090-6707-1253





●各章段はこんな感じです
祇園精舎
千手前
波紋音 永田砂知子
祇王

足摺






















橋合戦





















坂落







入道死去
先帝身投






2013年5月1日水曜日

JAFといえば「平家物語」?!どーんとこい企画のご案内。

こんにちは。
ゴールデンウィークの谷間
いかがお過ごしでしょうか?

ゴールデンウィークといえばレジャー。
レジャーといえば高速道路。
高速道路といえばJAFで安心。
JAFといえば「平家物語」

…とはなりませんね、普通。

ところが、なるんです。

わたしもびっくり。

そこでJAF会員の皆様に耳寄りなお知らせです!

日本自動車連盟(JAF)は、半世紀にわたりロードサービスを提供し、交通安全活動・環境対策活動など様々な事業活動に取り組んでいる、会員数約1743万名の自動車クラブです。入会されていらっしゃる方も多いと思います。

JAF会員の皆さんには様々な会員サービスがあって、会員誌「JAFMATE」や「JAFPLUS」には、車で出掛けられるお得な情報が満載。それ以外にも様々な年代や、家族で楽しめるイベントなども企画していらっしゃいます。(詳しくはHPをご覧下さい→http://www.jaf.or.jp/

そうした企画の一環として、来週5月11日(土)に東京都港区芝にあるJAF関東本部で、
「声に出して読んでみよう、初めての平家物語」
という講座を企画していただきました!

平家といえば…
「平家ねえ…祇園精舎がなんとか〜〜っていうやつでしょ?なんか昔覚えさせられたなあ。意味わかんないし(30代男性)」
「がっこうのきょうかしょにのってました。たいがドラマみました(10代小学生)」
「定年になったらいつかは読みたいと思ってました(60代男性)」
「なにか声を出してみたかったんです(50代女性)」
と様々な感想を耳にしたりしなかったり〜〜〜〜。
そもそも、ちゃんと読んだことないですよね?

ひと言で言えば、コレは、“そんな皆様ひっくるめて、よおしっ!ぜーんぶまとめて面倒見ましょう!どーんとこい”という企画です。


幅広い年代の方々に楽しんでいただけるよう、午前は親子向け、午後は大人向けの時間にしました。


「壇ノ浦合戦」をテキストに、体を張った(?)面白い解説で、古典の原文が、みるみる総天然色で立ち上がり、源平の合戦が手に取るように見えてきますよ!
いっしょに声を出しながら、800年前へワクワクする旅をしませんか?もちろん、私の語りを聴いていただく時間もあります。


ゴールデンウィークでお出かけしたかたも家に閉じこもっていたかたも、どーんといらして下さい。JAF会員の方ならどなたでもご参加いただけますので、ぜひお申し込み下さい。
皆様にお目にかかるのを楽しみにしております!

お申込はこちらから→http://jafevent.jp/event_info/search.php?From=search&contribution_id=54613&fromTopFlg=1





2013年4月2日火曜日

【満員御礼】鎌倉で聴く「平家物語」

おかげさまで定員に達したため受付終了いたしました。ありがとうございました。
なお、当日券はございませんので、当日直接会場にお越しになってもお入り頂けません。どうぞご了承下さいますようお願い申し上げます。(限られた人数のため、事前にお申込の上、チケット代金をお振り込み頂きませんとご入場頂けませんのでご注意下さい)







































2012年12月5日水曜日

地獄への道──「入道死去」

今回の最期のお話は、清盛の壮絶な最期を描いた「入道死去」です。

12月に入ったので、そろそろ大河の方でも清盛の最期をやるのではないかしらんと思い、ならば皆さんにも原文で味わっていただこうとこの演目を選びました。

さてまずはあらすじを見てみましょう。

ーーーーー

清盛の独裁ぶりは貴族・寺社・武士などから大きな反発を受け、平家はいよいよ孤立するようになりました。伊豆の流人源頼朝に続き木曽義仲が立ち上がり、諸国に待機していた反平家の勢力は次々と蜂起。日本全国、反平家ののろしが上がり、この世は今にも滅びてしまうのではないかと人々は不安に思いました。東国・北国での反平家の勢力を追討すべく、2月26日清盛の二男宗盛は自ら大将軍として出陣することを宣言。しかし出陣前夜、清盛が急に発病したため、出発は延期となります。清盛発病の噂はたちまち都中に広がり、平家お膝元の六波羅でも「それ見たことか」と囁かれました。

清盛の熱は身を焼くほどの異常なもので、周りの人間が4、5間以内に入ると熱くて耐えられないほどでした。清盛は「あたあた」とうわごとを言うばかり。比叡山から汲んできた水風呂に入って冷やそうとすれば水は沸騰して湯になり、水をかければ焼けた鉄に水をかけた時のようにたちまち黒煙となって殿中に渦巻きました。まるで法蔵僧都が見てきたという、八大地獄のひとつ、焦熱地獄のような光景でした。

そんなとき、妻、二位殿が身の毛のよだつ恐ろしい夢を見ました。猛火の車が邸の中に入ってきて、地獄の閻魔大王の使者たちが、奈良の大仏を焼いた罪を受けて無間地獄に堕ちる清盛を迎えに来るという夢でした。夢から覚めた二位殿は、金銀財宝を残らず神仏霊社に寄進して祈らせましたがその効果はありませんでした。
清盛の死を悟った二位殿は、耐え難い熱さでしたが、枕上に寄り添って、遺言があるか訊ねると、清盛は「思い残すことは何もないが、頼朝の首を見なかったことだけが無念である。自分が死んだらお堂を建てたり供養をするな、そのかわり頼朝の首をとり、我が墓の前にかけよ。それが一番の供養だ」と罪深い言葉を述べました。

閏2月4日、清盛は悶絶しながら絶命します。享年64歳。老い死にと言うほどではないけれど、宿運尽きたのでもうどうしようありません。忠節を誓った臣下は数多くいましたが「死」という目に見えない敵に対してはどうすることも出来ませんでした。日頃犯した罪だけが従者となって、たったひとり地獄へ旅立っていきました。同7日、愛宕で火葬にし、遺骨は摂津国の経の島に納められました。日本全国に名をあげ、威をふるったひとであったのに、その身は煙となって都の空へ立ち上り、屍は経の島の浜辺の砂となって空しい土となったのです

ーーーー

…まさに、たけきものもついには滅びぬ。諸行無常です。

このお話、私は始め、清盛は現代医学で言うとどういう病気で死んだんだろう??と不思議に思いました。発病してから10日くらいで高熱で死んでいく。他の人にうつる様子はないので流感ではなさそうだし…内臓は悪くなってないし…。水は沸騰しちゃうし、熱くて人が近づけないし〜〜。それに、奥さんの二位殿が見た地獄の夢に対する恐ろしがり方が尋常じゃなく、そのあたりもふくめていまいちピンと来なかったのです。

で、調べました。地獄のことを。(図書館でも本をあれこれ借りましたが、ウィキペディアがかなり分かりやすいのでぜひご一読下さい。)

そうしたら、地獄がものすごくシステム化されていて面白いのです!(っていったら罰が当たる??)当時は地獄の存在を皆が本当に信じていた時代でした。殺生、ウソ、邪淫、飲酒、親殺し、僧侶殺しなど、犯した罪の多さ・大きさに合わせて、落ちていく地獄のレベルは決まっており(八大地獄)、それぞれの地獄で受けるおそろしい拷問の種類(剣の山で引き裂かれたり灼熱の炎で身を焼かれたり…それはもうすごいんです)なども決められていました。

そして、何よりも興味深かったのが、それぞれの地獄には寿命が定められていて、一番軽い地獄でもなんと人間の時間に換算して1兆6653億年!!一番重い無間地獄に至っては、その期間1中劫=半永久的!!!に、無間地獄から次へ転生することが出来ないのです。ぎょえ〜〜〜!!!つらい、つらすぎる!!ってことは、清盛は今現在まだ無間地獄に滞在中?今行ったら会えるってこと?なんて思いながら、解説をよくよく読むと、無間地獄に落ちるのに真っ逆さまに落ち続けて2000年かかると書いてあるではありませんか!!清盛まだ落下中です。無間地獄にたどり着いてません。

そして、焦熱地獄のところにこうも書いてあるではありました。「この地獄に落ちる罪人は、死の三日前から中有(転生待ち)の段階にも地獄と同じ苦しみを受ける。」これか〜!!つまり、清盛は己が落ちていく無間地獄の苦しみを生きながらうけつつ死んでいったわけですね。なんだかもう読み終わってぐったり。。納得です。

面白がって書きましたが、地獄の様子をリアルに想像し、その存在を信じていた時代、死んださきに恐ろしい苦しみが待っているのはものすごい恐怖だったわけです。重衡もきっとそうですね。

だから人々はこの世で行い正しくあろうと努めたのです。

本から目を上げ、ふと、テレビのニュースに映った政治家の顔を見ながら、この人達に「地獄の思想」をもう一度教育してやったら、もうすこしまともになったかも知れなかったのに、と思いました。


ーーー

以上、今回のあらすじと見どころでした。ご参考までに。至らぬ点はご容赦願います。
では、劇場でお待ちしております!



======================================

これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)



2012年12月4日火曜日

物思いの種──「千手前」

清盛には多くの子がいましたが、平家物語に登場する主な息子達をざっくりご紹介しましょう。

長男の重盛は、武勇に長け誠実温厚。しばしば父清盛をいさめ、全体を見通す優れた人物でしたが、平家全盛の時期であるにもかかわらず、父の悪行に一門の運命を予見し熊野権現に祈って自ら命を縮めて死去。

二男の基盛は、夭逝したため平家物語では登場せず。

三男(平家物語では二男)の宗盛は、清盛の死後、家督を継ぎ一門の棟梁となりますが、性格は凡庸・臆病。義仲軍との交戦を避けて早々に都落ちを決定し、その際に法皇を逃したり、壇ノ浦で入水する勇気もなく、虜囚となってからもさかんに命乞いをし、周りからつまはじきされたり平家物語でもその無能さが強調されています。

四男(平家物語では三男)の知盛は、知謀の将として知られ。京都の防衛から壇ノ浦での滅亡に至るまで一門の軍事面での中心的存在として活躍しました。

五男(平家物語では四男)の重衡は、武勇の将として知られ、数々の合戦で勝利を収め、南都(奈良)焼き討ちの大将軍でもありました。一ノ谷で生け捕りにされ、京中を引き回された後、頼朝の申請によって鎌倉へ下向。一年後、南都大衆の引き渡し要求によって奈良へ上り、木津川のほとりで斬首。管弦にも優れユーモアもあり女性にももてました。

(以下略)


さて、本題です。

「千手前」は、この重衡が捕らわれて鎌倉に下った時の話です。

まず、あらすじを見てみましょう。

ーーーーー

朝敵となった三位中将重衡は、鎌倉で兵衛佐頼朝と対面します。南都攻めについて尋ねられた重衡は、焼き討ちは清盛の命令でも重衡の咄嗟の判断でも無かったといい、平家の運命の傾いたことを語り、早く首を刎ねるよう求めます。その毅然とした態度に梶原景時をはじめとする並みいる敵将が感服しました。頼朝は南都から引き渡しの要求があるだろうと、伊豆国の住人、狩野介宗茂に重衡を預けました。狩野介は情け深い者で、重衡は思いがけなく手厚い待遇を受けます。重衡を様々にいたわりお風呂を用意します。「道中の汚れを落としてから処刑するのだろうか」と重衡がいぶかしんでいると、20歳くらいの見目麗しい女性と14、5歳の少女が湯浴みの世話をしに湯殿に入ってきます。「なんでもお望みのことを承って私に申せ」と頼朝から遣わされました、というと重衡は「今更申すことはないが、ただ出家がしたいだけだ」と言います。

その夜、くだんの女性が琵琶や琴を持たせて酒宴の席にやってきて世話係の宗茂とともに重衡に酌をします。興なげな重衡に、千手は「羅綺の重衣たる情無い事を機婦に妬む」という詩を朗詠します(この詩を朗詠すれば、詠ずる人も聞く人も守ろうと誓いの込められた詩。か弱い舞姫にとってはその身にまとう薄衣さえ重いので、なぜこんな重い衣を 織ったのかと、機織女の無情を恨むほどだ、の意。重い罪を背負った重衡に同情しつつ、後の句では管弦が長すぎて終わらないので楽人を怒ると歌われており、千手は早く終わればいいと思っているのではありませんかと暗に重衡を気遣った)。しかしながら重衡は、「この世では自分は見捨てられた。一緒に歌う気にならない。罪が軽くなるような歌なら」と言うと、千手は「十悪と言えども引摂す(十悪を犯した罪人も、仏は導いて下さる)」「極楽願はん人は皆、弥陀の名号唱ふべし」などと心を込めて歌います。すると 重衡は盃を傾けました。続いて、千手が琴で雅楽の「五常楽(ごじょうらく)」という曲を弾くと、重衡の心も少しはほぐれたのか、「今の自分には“後生”楽とも聞こえる。では往生を急ごう」などと洒落て、自ら琵琶をとり「皇麞(おうじょう)の急」を弾きました。
夜も更けて、重衡の心がだんだん澄んでくると「東国にもこんなに優雅な人がいたのか。何でも良い、もう一曲歌って欲しい」と所望します。千手は「一樹の陰に宿りあひ、同じ流れをむすぶも、みな是先世のちぎり(同じ木陰に身を寄せるのも、同じ川の流れを手ですくって飲むのも、 全て前世からの契りである)」という白拍子を歌い、重衡も「灯闇しては、数行虞氏之涙」(楚の項羽が漢の高祖に敗れた際、その中で愛する后と別れる悲しさを歌った詩を朗詠しました。
夜も明けるので、千手前は重衡のもとを辞して帰り、持仏堂で法華経を読んでいる頼朝のところへ行きます。頼朝はほほえみながら「どうだ、よい仲人をしてやったろうが」といい、「平家の武人は戦さのことばかりと思っていたが、あの重衡の琵琶や朗詠など誠に優雅な人であったよ」と言いました。
千手はその夜のことが物思いの種となったのでしょうか。重衡が処刑されると、出家して信濃国善光寺にこもり、重衡の菩提を弔い、自分も極楽往生しました。

ーーーー

このお話、いってみれば、千手と重衡の一夜の恋のお話なのですが、さまざまな要素が含まれています。

重衡は平家随一の武将として、これまでにも様々な戦に勝ってきました。言い換えれば多くの人を殺してきたわけですが、最大の罪は奈良の僧侶達の反乱を鎮めるために攻めていって、寺院と大仏を焼き払ってしまい、1000人以上の僧侶と一般人が犠牲になったことです。暗闇の戦で明かりを取るために民家に火を付けたところ風が強くて延焼してしまったのです。当時僧侶を殺害することは一番重い罪で無間地獄に落ちるとされていました。

一ノ谷の合戦では、共に自害すると誓い合った乳母子に裏切られ、生け捕りになってしまいます。源氏軍は、重衡の身柄と平家が持って行った三種の神器とを交換しようと八島に陣を構えている宗盛に伝えますが、一門は断腸の思いで拒絶します。重衡は味方からも見捨てられました。

すべての望みを絶たれた重衡は出家を願いますが後白河法皇は許可しません。かねて親交のあった法然との対面が許された重衡は、南都焼き討ちは立場上避けることが出来なかったが、大将として罪を負う、しかし、このような悪人でも助かる方法があれば教えて欲しいと涙ながらに訴えます。地獄の実在を疑わなかったその時代、重衡は己の罪の重さに恐れおののいていたのです。

千手は手越(今の静岡市内)の長者(遊女のかしら)の娘で、美人で心優しい娘なのでこの2、3年頼朝の御所で召し使われていました。彼女はとても控えめで、べらべらと喋るようなタイプではありません。しかし、酒宴では、少しでも重衡の心の苦しみが軽くなるようにと、ふさわしい歌を選び、心を込めて歌うのです。重衡はこれほど自分の心を分かってくれる人がいたのかと驚いたのではないでしょうか。敗軍の将のすでに死後の世界しか求めていない貴公子が、行きずりの一夜に思いがけない心の優しさに巡り会うこの場面は、平家物語の中でももっとも美しいものの一つと言えます。

この、千手と重衡のやりとり、会話はほとんどなくて朗詠のやりとりそのものが会話になっています。なんと優雅なことでしょう。

そんな様子を頼朝は「立ち聞き」していて、翌朝、千手に(お前、惚れたな)という感じで言うところが、私は密かに好きです(笑)。


======================================

これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)