2012年12月5日水曜日

地獄への道──「入道死去」

今回の最期のお話は、清盛の壮絶な最期を描いた「入道死去」です。

12月に入ったので、そろそろ大河の方でも清盛の最期をやるのではないかしらんと思い、ならば皆さんにも原文で味わっていただこうとこの演目を選びました。

さてまずはあらすじを見てみましょう。

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清盛の独裁ぶりは貴族・寺社・武士などから大きな反発を受け、平家はいよいよ孤立するようになりました。伊豆の流人源頼朝に続き木曽義仲が立ち上がり、諸国に待機していた反平家の勢力は次々と蜂起。日本全国、反平家ののろしが上がり、この世は今にも滅びてしまうのではないかと人々は不安に思いました。東国・北国での反平家の勢力を追討すべく、2月26日清盛の二男宗盛は自ら大将軍として出陣することを宣言。しかし出陣前夜、清盛が急に発病したため、出発は延期となります。清盛発病の噂はたちまち都中に広がり、平家お膝元の六波羅でも「それ見たことか」と囁かれました。

清盛の熱は身を焼くほどの異常なもので、周りの人間が4、5間以内に入ると熱くて耐えられないほどでした。清盛は「あたあた」とうわごとを言うばかり。比叡山から汲んできた水風呂に入って冷やそうとすれば水は沸騰して湯になり、水をかければ焼けた鉄に水をかけた時のようにたちまち黒煙となって殿中に渦巻きました。まるで法蔵僧都が見てきたという、八大地獄のひとつ、焦熱地獄のような光景でした。

そんなとき、妻、二位殿が身の毛のよだつ恐ろしい夢を見ました。猛火の車が邸の中に入ってきて、地獄の閻魔大王の使者たちが、奈良の大仏を焼いた罪を受けて無間地獄に堕ちる清盛を迎えに来るという夢でした。夢から覚めた二位殿は、金銀財宝を残らず神仏霊社に寄進して祈らせましたがその効果はありませんでした。
清盛の死を悟った二位殿は、耐え難い熱さでしたが、枕上に寄り添って、遺言があるか訊ねると、清盛は「思い残すことは何もないが、頼朝の首を見なかったことだけが無念である。自分が死んだらお堂を建てたり供養をするな、そのかわり頼朝の首をとり、我が墓の前にかけよ。それが一番の供養だ」と罪深い言葉を述べました。

閏2月4日、清盛は悶絶しながら絶命します。享年64歳。老い死にと言うほどではないけれど、宿運尽きたのでもうどうしようありません。忠節を誓った臣下は数多くいましたが「死」という目に見えない敵に対してはどうすることも出来ませんでした。日頃犯した罪だけが従者となって、たったひとり地獄へ旅立っていきました。同7日、愛宕で火葬にし、遺骨は摂津国の経の島に納められました。日本全国に名をあげ、威をふるったひとであったのに、その身は煙となって都の空へ立ち上り、屍は経の島の浜辺の砂となって空しい土となったのです

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…まさに、たけきものもついには滅びぬ。諸行無常です。

このお話、私は始め、清盛は現代医学で言うとどういう病気で死んだんだろう??と不思議に思いました。発病してから10日くらいで高熱で死んでいく。他の人にうつる様子はないので流感ではなさそうだし…内臓は悪くなってないし…。水は沸騰しちゃうし、熱くて人が近づけないし〜〜。それに、奥さんの二位殿が見た地獄の夢に対する恐ろしがり方が尋常じゃなく、そのあたりもふくめていまいちピンと来なかったのです。

で、調べました。地獄のことを。(図書館でも本をあれこれ借りましたが、ウィキペディアがかなり分かりやすいのでぜひご一読下さい。)

そうしたら、地獄がものすごくシステム化されていて面白いのです!(っていったら罰が当たる??)当時は地獄の存在を皆が本当に信じていた時代でした。殺生、ウソ、邪淫、飲酒、親殺し、僧侶殺しなど、犯した罪の多さ・大きさに合わせて、落ちていく地獄のレベルは決まっており(八大地獄)、それぞれの地獄で受けるおそろしい拷問の種類(剣の山で引き裂かれたり灼熱の炎で身を焼かれたり…それはもうすごいんです)なども決められていました。

そして、何よりも興味深かったのが、それぞれの地獄には寿命が定められていて、一番軽い地獄でもなんと人間の時間に換算して1兆6653億年!!一番重い無間地獄に至っては、その期間1中劫=半永久的!!!に、無間地獄から次へ転生することが出来ないのです。ぎょえ〜〜〜!!!つらい、つらすぎる!!ってことは、清盛は今現在まだ無間地獄に滞在中?今行ったら会えるってこと?なんて思いながら、解説をよくよく読むと、無間地獄に落ちるのに真っ逆さまに落ち続けて2000年かかると書いてあるではありませんか!!清盛まだ落下中です。無間地獄にたどり着いてません。

そして、焦熱地獄のところにこうも書いてあるではありました。「この地獄に落ちる罪人は、死の三日前から中有(転生待ち)の段階にも地獄と同じ苦しみを受ける。」これか〜!!つまり、清盛は己が落ちていく無間地獄の苦しみを生きながらうけつつ死んでいったわけですね。なんだかもう読み終わってぐったり。。納得です。

面白がって書きましたが、地獄の様子をリアルに想像し、その存在を信じていた時代、死んださきに恐ろしい苦しみが待っているのはものすごい恐怖だったわけです。重衡もきっとそうですね。

だから人々はこの世で行い正しくあろうと努めたのです。

本から目を上げ、ふと、テレビのニュースに映った政治家の顔を見ながら、この人達に「地獄の思想」をもう一度教育してやったら、もうすこしまともになったかも知れなかったのに、と思いました。


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以上、今回のあらすじと見どころでした。ご参考までに。至らぬ点はご容赦願います。
では、劇場でお待ちしております!



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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)



2012年12月4日火曜日

物思いの種──「千手前」

清盛には多くの子がいましたが、平家物語に登場する主な息子達をざっくりご紹介しましょう。

長男の重盛は、武勇に長け誠実温厚。しばしば父清盛をいさめ、全体を見通す優れた人物でしたが、平家全盛の時期であるにもかかわらず、父の悪行に一門の運命を予見し熊野権現に祈って自ら命を縮めて死去。

二男の基盛は、夭逝したため平家物語では登場せず。

三男(平家物語では二男)の宗盛は、清盛の死後、家督を継ぎ一門の棟梁となりますが、性格は凡庸・臆病。義仲軍との交戦を避けて早々に都落ちを決定し、その際に法皇を逃したり、壇ノ浦で入水する勇気もなく、虜囚となってからもさかんに命乞いをし、周りからつまはじきされたり平家物語でもその無能さが強調されています。

四男(平家物語では三男)の知盛は、知謀の将として知られ。京都の防衛から壇ノ浦での滅亡に至るまで一門の軍事面での中心的存在として活躍しました。

五男(平家物語では四男)の重衡は、武勇の将として知られ、数々の合戦で勝利を収め、南都(奈良)焼き討ちの大将軍でもありました。一ノ谷で生け捕りにされ、京中を引き回された後、頼朝の申請によって鎌倉へ下向。一年後、南都大衆の引き渡し要求によって奈良へ上り、木津川のほとりで斬首。管弦にも優れユーモアもあり女性にももてました。

(以下略)


さて、本題です。

「千手前」は、この重衡が捕らわれて鎌倉に下った時の話です。

まず、あらすじを見てみましょう。

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朝敵となった三位中将重衡は、鎌倉で兵衛佐頼朝と対面します。南都攻めについて尋ねられた重衡は、焼き討ちは清盛の命令でも重衡の咄嗟の判断でも無かったといい、平家の運命の傾いたことを語り、早く首を刎ねるよう求めます。その毅然とした態度に梶原景時をはじめとする並みいる敵将が感服しました。頼朝は南都から引き渡しの要求があるだろうと、伊豆国の住人、狩野介宗茂に重衡を預けました。狩野介は情け深い者で、重衡は思いがけなく手厚い待遇を受けます。重衡を様々にいたわりお風呂を用意します。「道中の汚れを落としてから処刑するのだろうか」と重衡がいぶかしんでいると、20歳くらいの見目麗しい女性と14、5歳の少女が湯浴みの世話をしに湯殿に入ってきます。「なんでもお望みのことを承って私に申せ」と頼朝から遣わされました、というと重衡は「今更申すことはないが、ただ出家がしたいだけだ」と言います。

その夜、くだんの女性が琵琶や琴を持たせて酒宴の席にやってきて世話係の宗茂とともに重衡に酌をします。興なげな重衡に、千手は「羅綺の重衣たる情無い事を機婦に妬む」という詩を朗詠します(この詩を朗詠すれば、詠ずる人も聞く人も守ろうと誓いの込められた詩。か弱い舞姫にとってはその身にまとう薄衣さえ重いので、なぜこんな重い衣を 織ったのかと、機織女の無情を恨むほどだ、の意。重い罪を背負った重衡に同情しつつ、後の句では管弦が長すぎて終わらないので楽人を怒ると歌われており、千手は早く終わればいいと思っているのではありませんかと暗に重衡を気遣った)。しかしながら重衡は、「この世では自分は見捨てられた。一緒に歌う気にならない。罪が軽くなるような歌なら」と言うと、千手は「十悪と言えども引摂す(十悪を犯した罪人も、仏は導いて下さる)」「極楽願はん人は皆、弥陀の名号唱ふべし」などと心を込めて歌います。すると 重衡は盃を傾けました。続いて、千手が琴で雅楽の「五常楽(ごじょうらく)」という曲を弾くと、重衡の心も少しはほぐれたのか、「今の自分には“後生”楽とも聞こえる。では往生を急ごう」などと洒落て、自ら琵琶をとり「皇麞(おうじょう)の急」を弾きました。
夜も更けて、重衡の心がだんだん澄んでくると「東国にもこんなに優雅な人がいたのか。何でも良い、もう一曲歌って欲しい」と所望します。千手は「一樹の陰に宿りあひ、同じ流れをむすぶも、みな是先世のちぎり(同じ木陰に身を寄せるのも、同じ川の流れを手ですくって飲むのも、 全て前世からの契りである)」という白拍子を歌い、重衡も「灯闇しては、数行虞氏之涙」(楚の項羽が漢の高祖に敗れた際、その中で愛する后と別れる悲しさを歌った詩を朗詠しました。
夜も明けるので、千手前は重衡のもとを辞して帰り、持仏堂で法華経を読んでいる頼朝のところへ行きます。頼朝はほほえみながら「どうだ、よい仲人をしてやったろうが」といい、「平家の武人は戦さのことばかりと思っていたが、あの重衡の琵琶や朗詠など誠に優雅な人であったよ」と言いました。
千手はその夜のことが物思いの種となったのでしょうか。重衡が処刑されると、出家して信濃国善光寺にこもり、重衡の菩提を弔い、自分も極楽往生しました。

ーーーー

このお話、いってみれば、千手と重衡の一夜の恋のお話なのですが、さまざまな要素が含まれています。

重衡は平家随一の武将として、これまでにも様々な戦に勝ってきました。言い換えれば多くの人を殺してきたわけですが、最大の罪は奈良の僧侶達の反乱を鎮めるために攻めていって、寺院と大仏を焼き払ってしまい、1000人以上の僧侶と一般人が犠牲になったことです。暗闇の戦で明かりを取るために民家に火を付けたところ風が強くて延焼してしまったのです。当時僧侶を殺害することは一番重い罪で無間地獄に落ちるとされていました。

一ノ谷の合戦では、共に自害すると誓い合った乳母子に裏切られ、生け捕りになってしまいます。源氏軍は、重衡の身柄と平家が持って行った三種の神器とを交換しようと八島に陣を構えている宗盛に伝えますが、一門は断腸の思いで拒絶します。重衡は味方からも見捨てられました。

すべての望みを絶たれた重衡は出家を願いますが後白河法皇は許可しません。かねて親交のあった法然との対面が許された重衡は、南都焼き討ちは立場上避けることが出来なかったが、大将として罪を負う、しかし、このような悪人でも助かる方法があれば教えて欲しいと涙ながらに訴えます。地獄の実在を疑わなかったその時代、重衡は己の罪の重さに恐れおののいていたのです。

千手は手越(今の静岡市内)の長者(遊女のかしら)の娘で、美人で心優しい娘なのでこの2、3年頼朝の御所で召し使われていました。彼女はとても控えめで、べらべらと喋るようなタイプではありません。しかし、酒宴では、少しでも重衡の心の苦しみが軽くなるようにと、ふさわしい歌を選び、心を込めて歌うのです。重衡はこれほど自分の心を分かってくれる人がいたのかと驚いたのではないでしょうか。敗軍の将のすでに死後の世界しか求めていない貴公子が、行きずりの一夜に思いがけない心の優しさに巡り会うこの場面は、平家物語の中でももっとも美しいものの一つと言えます。

この、千手と重衡のやりとり、会話はほとんどなくて朗詠のやりとりそのものが会話になっています。なんと優雅なことでしょう。

そんな様子を頼朝は「立ち聞き」していて、翌朝、千手に(お前、惚れたな)という感じで言うところが、私は密かに好きです(笑)。


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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)


2012年12月3日月曜日

絶望か希望か──「足摺」

「足摺」は、かの有名な鬼界ヶ島で置いてきぼりにされてしまう俊寛のお話です。
能や歌舞伎、浄瑠璃の演目になっていますので、どこかでご覧になっている方も多いと思います。

俊寛が流罪になった原因「鹿ヶ谷事件」が起こったのが1177年。5月に発覚し6月には、藤原成経、俊寛、康頼が鬼界ヶ島に配流となりました。その1年後の1178年6月に清盛の娘で高倉天皇に嫁いだ徳子が懐妊、しかし体調が思わしくありません。その原因は南の島へ流したものたちの恨みによるものなので早く召し帰せということで大赦が行われ、成経と康頼が都へ召還されるのです。

鬼界ヶ島は南海の孤島で火山の煙がもくもくして硫黄がごろごろ、田んぼも畑もなく、住人の言葉はぜんぜん分からないところだと平家物語では書いています。

あらすじを見てみましょう。

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お話は都からの使者が喜界が島の浜辺にたどり着くところから始まります。


都からの使者の上陸に俊寛は大喜びしますが、赦免状に俊寛の名前はありませんでした。そもそも俊寛は、清盛に世話になった恩がありながら、それを無為にして謀議のために山荘を提供したことなどから、清盛の怒りは収まらなかったのです。
自分一人が赦免に漏れたことを知った俊寛は、丹波少将成経につかみかかり、「こうなったのも、そなたの父、大納言入道殿が企てた謀反のせいだ」と喚きます。丹波少将は、「そのような様子を見ると帰る気持ちにもなりません。乗せて差し上げてでも都に上りたいと思いますが、都のお使いもだめだといいますので、お許しもないのに、勝手に3人で島を出たなんてことが都に聞こえたら、かえって良くないことになります。都についたら様子を見て必ず迎えを寄越すので、それまで待っていてください」と一生懸命慰めましたが、俊寛は人目もはばからず泣きもだえました。

いよいよ船を出そうとすると、俊寛は船に乗っては降り、降りては乗って、自分も船に乗りたいという様子をします。ともづなを解いて船を押し出すと、俊寛は綱に取りついて引かれていき、「せめて九州まで」と船に取りすがって懇願するが、手を引きのけられ、船は沖へと漕ぎ出していきます。俊寛は、子が母を慕うように浜辺で地団駄を踏みながら「乗せて行け、連れて行け」と喚き叫び、高いところに上って船に向かって手を振りますが、船は遠ざかるばかり。結局俊寛は泣きながら浜辺で一夜を過ごし、成経が都に帰って良いように取りはからってくれることもるかも知れないと僅かな望みをかけ、身投げをしなかった俊寛のこころは空しいものでした。

ーーーー

この章段は短いものですが、無駄のないうえに非常に劇的に俊寛の心情や様子が描かれて名文中の名文と言われています。聴いていてもありありと目に浮かびます。だからこそ、能や歌舞伎の題材になったわけですが、このタイトルの「足摺」というのがまたうまいこと付けたなあと思います。これは足摺(もしくは磋跎)の地名にちなみ一人の僧が仲間が船出するのに岬で足ずりをしたという説話を作者がうまく取り入れたとも考えられていますが、ともかく大の大人が子どものように地団駄を踏むのです。思いのほどが痛いほど伝わります。中程の成経の困惑した様子もよく描かれていると思います。俊寛の気持ちは分かるけれど、余計なことをして自分たちの赦免を台無しにしたくない…。

この俊寛という人物は、法勝寺という大寺院の寺務職として80カ所余りの荘園運営にあたり、4、500人の召使いや眷属に取りまかれ権勢を誇っていました。この人の祖父の大納言は、余りに怒りっぽい人で、自分の邸の前を滅多に人も通さず、いつも中門に佇んで歯を食いしばって周囲をにらみつけていたそうです。(最近見かけなくなりましたが、昔は町内にそういうおじいさんがいましたね。ボール取りに行くのがおっかない家!)その孫だからか、俊寛も僧侶なのに気性が激しく驕り高ぶった人で、だからつまらない謀反に参加したのだろうと平家物語は描いています。

このお話には、「有王」と「僧都死去」という続きがあって、これはもう胸に迫る最期ですが、これはいずれまた。

気性の激しい不信心な俊寛ですが、やはり都に残された家族を思い、帰りたい。絶海の孤島に取り残される彼の心境はいかばかりか。。。。ちなみに、私、最初に能「俊寛」を見た時、すっかり俊寛はおじいさんだと思っていましたが、よくよく読んでみると、享年37歳。
やはり、無念であったろうと思います。

こうした人々の怨念が積もり積もって平家を祟ったと書かれています。

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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
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2012年12月2日日曜日

政治家の我欲がこの世をだめにする──「祇園精舎」

いよいよ、今週木曜日に近づいてきました「平家物語」。

今日からあらすじと見どころを掲載していきます。

ぜひお読みになってから劇場にお越しください。


「祇園精舎」

平家物語はこの祇園精舎に始まり、祇園精舎に終わる…といってもいいかもしれません。

前回の公演をご覧になったある方が、「金子さんの祇園精舎は…あれだね、あの〜、無常感ていうの?そういうのがないね…」と遠慮がちに感想を述べられていました。

「そりゃ、そうでしょう、だってわたし、永●町と霞●関に向かって言ってますもの!」
と鼻息荒く私。

では、現代語訳を見てみましょう。

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祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きをたてる。釈迦入滅のときに白く変じたという娑羅双樹の花の色は、盛者必衰の道理を表している。ただ春の夜の夢のように儚いものである。勇猛な者もついには滅びてしまう。全く風の前の塵と同じである。驕り高ぶった人も、末永くは続かない。外国の例を探してみると、秦の趙高や唐の安禄山など、これらはみな旧主先皇の政治にも従わず、楽しみを極め、人の諫言も聞き入れることもなく、天下の乱れることを悟らずして、民衆の嘆き憂いを顧みなかったので、末永く栄華を続けること無しに滅びてしまった者どもである。近く我が国にその例を探してみると、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼、これらは皆驕れる心も猛悪なこともそれぞれに甚だしかったが間もなく滅びてしまった。ごく最近では六波羅の入道、前太政大臣平朝臣清盛公と申した人の驕り高ぶり横暴な有様は言葉で言い表せないほどである。

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「平家物語」では末法の世に世界が地獄と化していく有様が描かれています。あらゆる人がその運命に巻き込まれることを免れない。源氏物語では、地獄というのは個人の内面の事件であったけれども、平家物語においては地獄は社会的事件となっています。仏教において、人間の苦悩は欲望が原因でした。平家物語において世界を包んだ大地獄の原因は何であったか。それは清盛の並外れた「煩悩」が、「我執」が原因だったとこの作者は言っています。(梅原猛「地獄の思想」より)

毎日の新聞、ニュースを見ると、私はいつもこのことを思い出すのです。だからこそ、平家物語が昔話に思えないのです。

授業で学んだ「祇園精舎」を、劇場でもう一度じっくり聴いてみて下さい。

そして、今回は清盛の最期の章段もやります。併せて聴いていただくことで何かが見えてくるかも知れません。


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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
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語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
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2012年11月14日水曜日

12/6 平家物語公演FAQ?!

みなさんこんにちは。

打合せからあっという間に1週間が経過しました。。。。。
(それはつまり…公演まで3週間になってしまったということなのですが…わわわ)
しつこい風邪も治った金子です。

日を追うごとにどんどんチケットのお申込が増えてまいりました!とっても嬉しく思っております。まだの方はどうぞお早めにお申し込み下さい!

ーーーー

さて、公演に関してこんなご質問がありましたので、念のためご説明申し上げます。

FAQ1:チラシの公演日が、表は12.6(木)裏は12.6(火)になっていますが、どっちが正しいの?
A1:はい、表面の12/6(木)が正しい曜日です!
(裏面は……校正の時に…ここだけ間違いに気づきませんでした〜(T_T)…できるかぎり修正したチラシをお配りしていますが直ってなかったらごめんなさい。修正は白いペンで、もちろん手・書・き。もう何千枚書いたことやら…)

FAQ2:何時の回があるの?
A2:昼と夜の2回公演です。昼の部が14:00開演、夜の部が19:00開演です。
(中には14:00〜19:00までぶっ通しでやると思われた方が何人かいらっしゃいましたが、そんな恐ろしいことやりません。やったらぶっ倒れてしまいます(お客様が)。私どもと皆様の健康のために、各回の上演時間は約1時間15分を予定しています。

FAQ2:前回と同じものをやるの?
A2:まるきり新作です。「祇園精舎」は共通ですが、今回は「足摺」(俊寛のお話)「千手前」「入道死去」の3章段をやります。(ちなみに前回は祇園精舎、祇王、橋合戦、坂落、先帝身投でした。)全く違う印象で楽しんで頂けると思います。この三話の見どころなどは追々ブログにアップしますのでちょくちょく覗いてくださいね。

チケットのお申込お待ちしております!



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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp
 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)

















2012年11月11日日曜日

12/6「平家物語」 座・高円寺2公演に向けて始動!

公演までちょうど一ヶ月という日。
演出と舞台美術と照明の打合せをやりました。
私たちは、この平家物語という素材を、
「難しくて古めかしくて分からない眠くなる古典」ではなく
「びっくりするほど分かってかっこよくて美しくて目がギンギン覚めちゃうコンテンポラリー」だと思っています。というか、原文を読んだ時にそういう風に感じたのです。
その面白さをぜひ皆さんにお伝えしたいと思っています。

そして、実はそれを一番楽しんでいるのが私たち自身なのです。

ーーーー

雨降る中、集まったのは、舞台美術家のトクマス氏と照明の横原氏と私。
そう、私はこの平家物語の作品では企画・演出家でもあります。むふ。

前の週に引いた風邪が治りきらず(というか真っ最中)ずびずびしながら電車を降りると
目の前に照明横原氏。彼も「結構しつこい風邪を引いた」らしく、2人ともぐずぐずずびずびしながら打合せのお店に向かいました。

程なくトクマス氏が元気いっぱいでやってきました。「なになに、2人とも風邪〜?やだな〜(笑)」とかいいながら舞台装置の模型を組み立て始め、あっという間に、喫茶店のテーブルに模型がおかれました。「今日は風邪だからトクマスさんに対抗できるかな〜(笑)」なんて言っていた横原氏。模型が組み上がった途端、スイッチがON、目がキラリーンピカ!
「ここがこうでね〜、あそこがああでね〜〜」というトクマス氏。今回の舞台空間は、なるほどそう来たか。と唸ります。そしてすごくいいです。

「うんうん、いいっすね。なるほどね」「いやぁ、ここ明かり当てたくなっちゃうなぁ!」とか1人でぶつぶつ言いながら例のビームで模型を凝視し始める横原氏。

作品の意味や演出イメージをもやもやと話す私。

ああ、面白い。このやりとりが私はものすごく面白くてたまりません。木の中から一体の仏様を彫り出すような…いや、そんな御利益のあるようなものじゃないですが(笑)。。。雲の中にあって、はっきりとは見えないけれど、確かに完成形がそこにあって手探りで見つけるような…この瞬間が「作品作り」の一番面白いところです。




私の言葉の何が彼らにぴんとひっかかるか。そしてどう具現化するのか。模型の中で演じる自分を想像しつつ…口角泡を飛ばしながら話は弾み…

いいんでない〜これでいきましょ〜と。

翌日、美術のトクマス氏からメール。「2人の風邪がうつったよ…(笑)」

前回にもまして、ぜんぜん古典とか平家物語っぽくない絶対面白い舞台空間になります!

いったいそれはどういうこと??と思われたみなさま、ぜひぜひ劇場でご覧になって下さい!どうぞお楽しみに!

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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分
【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。
【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp
 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)









2012年10月24日水曜日

ひつそりと佇む寺の灯に われ古の人となりけり

…なんだかまだ、余韻の中にいて
…800年前の平家物語の世界から戻ってきていない感じです。




千葉県多古町の日本寺。

杉の森の中にある
すばらしいお寺でした。
ゆったりとした時間が流れ…静かで…

静かということがどれほど贅沢かがよく分かります。

200メートルの杉木立の奥に本堂が見える
多古町重要文化財の山門
本堂は二階建で吹き抜けになっている珍しい作り(下見の時の写真)



日本寺は、700年の歴史を持つ日蓮宗の古刹で、僧侶の大学「檀林」として、檀家を持たず、師弟一体となった厳しい行学を行った大変に由緒あるお寺です。しかし、明治に廃檀となった後は、時の流れからはなれたように、ひっそりと森の中に佇み今日に至っています。

その歴史ある日本寺の本堂の中に浮かび上がった幻想的な明かりの中で、永田砂知子さんの波紋音と共に、「足摺」と「千手の前」と「鶏合壇浦合戦」の三つの章段を演じ語りました。
「祇園精舎」


本堂の中央を舞台とし、お客様には舞台を挟んで左右から観ていただきました。
お灯明が揺らめく中、繊細で美しい舞台照明と音響が加わり、まさに劇場では味わうことの出来ない濃密な、悠久の時を超える舞台空間だったと思います。「足摺」では鬼界ヶ島の渚になり波の音が聞こえ、「千手前」では鎌倉の雨の静かな夜が更けてゆくのを感じていただけたのではないでしょうか。

「千手前」 舞も今様もあり千手の優しさが感じられます
前日から泊まり込みで、舞台の仕込みとリハーサルをやったのですが、寝るところが隣で帰りの時間を気にせず、じっくりと取り組めるというはありがたかったですね(笑)。夜も更けゆく中、庫裏で酒を酌み交わしいつまでも話が尽きませんでした。

「鶏合壇浦合戦」 これはあえて語り物として
そして何よりも驚いたのがものすごい数のお客様が来て下さったことです。昼夜共に満員で、特に昼の回は立ち見が出るほどの超満員でした。多古町の皆さまが日本寺を誇りに思い大切にされていることがひしひしと伝わり胸が熱くなりました。本当にありがとうございました。

ぜひまた、日本寺に伺いたいです。

アフタートークの様子
2012年10月20日(土)「平家物語」 千葉県香取郡多古町日本寺
語り:金子あい、波紋音:永田砂知子、照明:関根有紀子、音響:江澤千香子




さて、お寺とはまた違った劇場バージョンをぜひご覧下さい!
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「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)14:00/19:00開演
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分
【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。
チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp
 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)





















2012年10月16日火曜日

いよいよ千葉県多古町 日本寺「平家物語」公演!


日本寺「平家物語」公演、いよいよ今週末に迫って参りました。
いやもう、どんな空間になるか私たちもどきどきわくわくしています。

昼は陰影礼賛。夜は参道に灯りがともり、幻想的になると思います。
鉄の創作打楽器・波紋音の音は、太古からあるような懐かしさと洗練されたモダンさとを合わせ持つ不思議な楽器です。だからこそ、同じ平家物語でも独特の世界観が楽しめるのではないかと思います。






出演:語り 金子あい、波紋音 永田砂知子
演目:「祇園精舎」「足摺」「千手前」「鶏合壇浦合戦」

2012年10月20日(土)14時/18時開演(開場は30分前)

会場:日本寺(にちほんじ) 本堂
   千葉県香取郡多古町南中1820−1
入場料:1000円/高校生以下500円
お問合せ・ご予約:日本寺 TEL:0479−76−3745
主催:多古日本寺コンサート実行委員会



成田空港から車で20分に位置する中村檀林旧跡 正東山日本寺は、歴史上有名な檀林(僧侶の学問所)のあった日蓮宗の古刹で、元応元年(1319)開基。大きな森と時代の流れの中にひっそりとたたずむ山門や鐘楼。本堂は二階建で、檀林の講義の様子を思わせる他の寺院では余り見られない珍しい建物です。

山門をくぐり杉林に囲まれた参道を進む
おおらかで由緒ある古いお寺で
時空を超えて
700年前の平家物語の世界をお楽しみ下さい。


アクセスやお寺の詳しい紹介、また成田空港からの送迎バス付きツアー企画などもありますので下記をご覧下さい。

日本寺平家物語公演ページ
http://nichihonji.org/Live/event/heikemonogatari/index.html

日本寺ホームページ
http://nichihonji.org/









2012年9月27日木曜日

雨降る多古町 特別講座

あの暑さがウソのように、すっかり涼しくなりました。

先日の日曜日。
千葉県の多古町に「平家物語」日本寺公演の前宣伝もかねて、永田さんと2人で特別講座に行って参りました。

多古町は成田空港から車で20分ほどのところにある豊かな自然と歴史に彩られた昔の面影を残す町で、早場米が有名です。多古町へ行くには、東京駅から成田空港行きの高速バスに乗っていくのが快適で便利です。道も空いていると1時間弱で第2ターミナルに到着します。その先は路線バスかタクシーですが、この日はお迎えに来て頂きました。

4階でバスを降りて、ターミナルを1階まで降りて、ガラガラとスーツケースを持って歩くと、まるで海外旅行に行くような不思議な気分。

講座の会場となった多古町コミュニティプラザのロビーは広々と明るく、音が良く響くスペースでした。開催時刻が近づくにつれ、何人くらい来て下さるだろうか…とだんだん心配になってきました。もちろん、お客様が何人でも一生懸命やることには変わりありませんが、この日はなんと言っても、10/20の日本寺公演の宣伝をかねていますので、出来る限り沢山の方に私たち2人を知ってもらいたいと思っていました。外の天気が気が気ではありません…雨の降る日曜日の午後…出掛けるのがおっくうになりそうな雨が朝からずっと降り続いていました。

開場の時刻にぽつぽつと、数組のお客様が見え始めたところで、私はロビーの隅っこのグランドピアノの陰に座って資料に目を通しはじめました。前日のレクチャーでちょっと曖昧なところがあったので確認しようとおもいました。時間になったので、立ち上がって見るとロビーな大変賑やかで、なんと50名もの方々がお見えになっているではありませんか。

すっかり嬉しくなって、張り切って話しはじめたのはいいのですが、あれもこれもとあらすじの解説が止まらなくなり、気づけば、隣で永田さんが冬眠しそうになってました(お客様はよく辛抱して下さいました〜(笑))いかんいかん、直前まで資料を読みふけっているとこういうことになってしまう!とあわてて永田さんに丸投げして波紋音体験コーナーがスタート。波紋音がぽろぽろと鳴り響くと、たちまちに静謐な空間に変わるから不思議です。お客様1人ずつに波紋音を持っていただき演奏すると、人によって音色が変わるという面白い体験もありました。
心が吸い寄せられるような波紋音の音に思わず手を合わせてしまう方も…永田さんは「拝まなくていいですよ〜、べつに御利益はありませんから〜〜(笑)」。でも、拝みたくなる気持ちが分かりますね。なんて言うのかなあ、ささくれ立っていた心の肌理が整うというか…癒されるというか、ふわっとするんですよね波紋音の音って。

それから、壇ノ浦の一部分を皆さんに一緒に声を出して読んで頂きました。ちょっと残り時間が気になって駆け足に進めてしまったので、ゆっくり体験できなかったかもしれません、ごめんなさい。詩吟や読み聞かせなど声を出すのに慣れている方がいらっしゃったそうで、驚くほど大きな声で皆さん迫力があって、とても素晴らしかったです!

最後に2人で祇王のさわりを少し語って講座はお開きとなりました。90分盛り沢山におつきあい頂きありがとうございました。

今回の講座で、少しでも私たち2人や平家や波紋音に興味を持っていただけたら幸いです。どうぞみなさま、お誘い合わせの上、ぜひ日本寺平家物語公演にお越しくださいませ。

そして、関係者の皆さんが日本寺をとても大切にされていて、この公演の成功のためにご尽力くださっていることがとても良く分かりました。この平家物語を多くの方に楽しんで頂くとともに、これをきっかけに日本寺という素晴らしい空間を訪れてほしいと思います。日本寺の面白さはまた改めて書きます。




日本寺「平家物語」公演


出演:語り 金子あい、波紋音 永田砂知子
演目:「足摺」「千手前」「壇浦合戦」

2012年10月20日(土)14時/18時開演(開場は30分前)

会場:日本寺(にちほんじ) 本堂
   千葉県香取郡多古町南中1820−1
入場料:1000円/高校生以下500円
お問合せ・ご予約:日本寺 TEL:0479−76−3745
主催:多古日本寺コンサート実行委員会



成田空港から車で20分に位置する中村檀林旧跡 正東山日本寺は、歴史上有名な檀林(僧侶の学問所)のあった日蓮宗の古刹で、元応元年(1319)開基。大きな森と時代の流れの中にひっそりとたたずむ山門や鐘楼。本堂は二階建で、檀林の講義の様子を思わせる他の寺院では余り見られない珍しい建物です。

山門をくぐり杉林に囲まれた参道を進む
おおらかで由緒ある古いお寺で
時空を超えて
700年前の平家物語の世界をお楽しみ下さい。


アクセスやお寺の詳しい紹介、また成田空港からの送迎バス付きツアー企画などもありますので下記をご覧下さい。

日本寺平家物語公演ページ
http://nichihonji.org/Live/event/heikemonogatari/index.html

日本寺ホームページ
http://nichihonji.org/









2012年9月18日火曜日

きっかけはウルウル。


ある日のこと。
サロン朗読会で平家の語りと簡単なワークショップををやった時、25名ほどのお客様の中に、とってもきれいな妙齢の女性が目をウルウルと輝かせて私を見ておりました。
…何を隠そう、中高時代はチョコをもらったこともある私(笑)。まさか?いや、しかし、この年になってそれは。。。う〜〜〜む。なぜ、そんなに熱い視線で…と一人照れ照れしながらワークショップを終えると、その女性、つかつかと私のところへやってきて、「面白い!!こんなに面白い平家を私は求めていたんです!ぜひ、講座をやりませんか!」

ということで、ウレシハズカシ、東急セミナーBe青葉台校で10月開講と相成ったわけです。現在、吉祥寺で2クラス「平家物語 朗読教室」をやっていますが、もっと沢山の方にやってみていただきたいなぁと思っていた矢先でしたので、本当に嬉しいことです。

で、この「平家物語」の語りの面白さ、とはなんなのかということなのですが…そうですね…ひと言で言えば、「呪文のようにちんぷんかんぷんだった原文が、まるで映画を見ているように活き活きとしたドラマに立ち上がってくる、自分の想像力がどんどん働き始める「想像」と「創造」の面白さ」だと思っています(すみません、ひと言じゃなかった…)。

今の時代、平家を読むことはとても興味深いです。

百聞は一見にしかず、ということで、まずは私の「語り」とレクチャーを聴いていただこうという企画です!そして、なんと!私の平家の舞台で相方をつとめて下さっている打楽器奏者永田砂知子さんが鉄の創作打楽器「波紋音(はもん)」を特別に演奏して下さいます。素晴らしい音です。

夕方の半端な時間ですが、夕飯前のひととき、お気軽にお立ち寄り下さい。
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9月22日(土)17〜18時 受講料 2000円。入会金不要。
東急セミナーBe青葉台校501教室(東急田園都市線 青葉台駅直結)

※16日締切となっていますが、当日まで申込み受付可となりました。

詳細お申込はこちら↓
http://www.tokyu-be.jp/seminar/2012070003XA02101.html 

2012年6月5日火曜日

6月の平家物語サロンに出演します


お知らせが間際になってしまいましたが、来週、神田で行われる「平家物語サロン」に出演します。小さな会ですが、毎回、お茶とお菓子を召し上がって頂きながら、豪華出演者のDVDを観て、生の朗読を聴き、とっても分かりやすい解説もあり、今回はさらに私の朗読ワークショップまでついてくるという、とってもお得な会です。
よろしければ是非ご参加下さい♪

【日時】2012年6月14日(木)
  1部 15:00〜16:30/2部 19:00〜20:30
  ※受付は30分前から
【参加費】2,000円 お茶・お菓子付き

【プログラム】
1,よく分かる!平家物語解説トーク 橘 幸治郎
2,DVD上映
  「重衡生捕」(映像出演:片岡愛之助)
  「海道下」(映像出演:今藤長十郎、杵屋直吉 他)
3,朗読のワークショップ「鶏合 壇浦合戦」金子あい
4,朗読 「千手の前」語り手:金子あい

お申込・問合せは
NPO法人 原典「平家物語」を聴く会 事務局
TEL.0120-94-1044・03-6673-3863
info@heikemonogatari.jp




私の平家物語との出会いは、こちらの会からお声をかけていただき、10年ほど前に舞台で「千手の前」の語ったのが始まりです。なんと3つのお話のそれぞれの語り手は、野村萬斎さん、当時民藝にいらした岡橋和彦さん、そして、私という組み合わせでした(笑)。

千手の前の舞台は撮影されDVD全集の中に収録されています。

それは、全192章段のうち99章段をDVD化するという壮大なプロジェクトの一環で、各章段ごとに語り手が異なり、中村吉右衛門さんや故島田正吾さん、若村麻由美さん、菊川怜さんなどバラエティーに富んだそうそうたる顔ぶれ62名によって様々な表現で語られています。先だって、そのDVD全集ができあがり、並んでいるだけでも圧巻でした!詳細は下記のリンクをご覧下さい。

その総指揮をとったのが、このサロンを主催され、毎回、平家を分かりやすく熱く解説して下さる橘さん。10年前の橘さんの熱い思いが今でも忘れられません。


原典「平家物語」http://www.hagoromo.com/heike/index.html



2012年4月20日金曜日

見えないツボ 音響

平家の舞台が終わって一週間。いまいち体が休めていないので、思い切って鍼に行きました。体中ばりばり。「あ〜、こりゃひどいねぇ!刺し甲斐があるよ。」ほらここ、ここもね。と言いながら、先生は鍼を刺していきます。ドンピシャ、ずーんと鈍く響く心地よさ。たった2ミリほどの深さです。なぜ、ツボが分かるのかしらんと思いながら、いつのまにか爆睡。からだ中が液状化や〜と思いながらふらりふらりと帰宅すると、黒やぎさん、ならぬ、音響の黒さんから分厚いお手紙が。。。開けてみると先週の舞台公演の録音CDでした。ちょっと聞き始めたら、さっそく永田さんから電話があって、「柔らかないい音で録れていますね」と仰っていました。

いい音。

ってなんでしょう?


今回の舞台では、永田さんの楽器の音を細かくマイクで拾い、私の声もマイクで拾っています。音の響きはそれぞれの劇場によって様々な特性がありますが、今回はどちらかというと響かない劇場です。しゃべりはともかく、楽器にとっては響かないのは結構厳しいものです。低くて大きな波紋音、高くて繊細な波紋音、おりん(仏具)を擦る音。。。
永田さんの奏でる音色の一つ一つを当たり前のように耳で味わえるように、私の語る声や歌声が当たり前のようにお客様の耳にしみこむよう調整するのが、音響さんのお仕事なのです。

ベテラン音響の黒さんも、波紋音は今回が初めて。
まずは、どんな音がするのかと、私と永田さんの稽古を聴きにいらっしゃいました。

永田さんは使用する波紋音のあれこれを叩いて見せて、様々な音を黒さんに聴かせてはいろいろと楽器の特徴を説明します。
「この子は水っぽい音で〜〜、このさゆりちゃんは、純情な音〜〜、このニキビ君は〜〜」

…さゆりちゃん??ニキビ君??

やっぱり永田さんは面白い。

黒さんは「なるほどね」といいながら一通り稽古を聴くと、下からの波紋音の響きはどう聞こえるのか、と永田さんに持ち上げてもらって音を聴いていました。
「はい、分かりました。」
黒さんは患者を診終わったお医者さんのようでした。

その次の稽古の時、ドクター黒さんは床材に注目していました。波紋音は楽器の響きだけでなく床にも響きが伝わります。さらに、ある章段で使っていた波紋音の音が私の声と近い音が含まれていて、かえって、深みや厚みが感じられないと指摘。
なるほど、たしかにその時、やけに自分の声がきつく耳に障るなあと感じたのですが、そのせいか〜〜ドクター黒さん、さすが、すご!

劇場に入る前に、黒さんが「音はこちらがちゃんと調整しますから、気にしないで思い切り演奏してください」と伝えると、永田さんはとても安心したようでした。

音響設備もない小さな会場でやる時などは演奏者や語り手自身が音量を気にして手加減することも多いので、心配せずに演奏し語れるのは何よりです。

そして本番。

永田さんは普段見たこともないくらい、思いっきりのびのびと波紋音を叩いていました。その力強い音が劇場中に響き渡ります。そして繊細な音もしっかりと聴こえて来ます。私はマイクを意識することなく、一人一人の耳に自分の声が届いているのを感じました。今様を歌う時にはすーーっと声が伸びて会場に染み渡るようで、自分の歌声が魔法の力を持っているような錯覚に陥りました。本当に気持ちよかった。

舞台にいる私たちには、なにがどうなって、音が響いているのか分からないのですが、きっと、黒さんは見えないあちこちのツボに微妙な案配で鍼を打って、ここちよい響きを生み出してくれているんだなあ、と。液状化の私は布団にひっくり返ってCDを聴きながら思いました。

2012年4月16日月曜日

照明家という生き物

プレーリードッグか?いいえ、照明作業中です。
照明の横原氏を最初に「捕獲」したのは昨年の9月「平家物語 木曾三話」公演の打合せで松本の劇場を訪れた時のことです。

最初は、普通の朗読会として依頼された(であろう)「平家物語」松本公演。
主催者のKさんから「会場はまつもと市民芸術館小ホールを押さえましたから〜」と電話が来た時に、私の脳内にはビビビーっと電気が走り、石炭エンジン全開、ぷっしゅーっと煙を吐き始めました。ここ数年何度も出させていただいている大好きな素晴らしい芸術館の舞台でやれる!!これは…これは…ただ座って読む朗読ではもったいない!
ずっと実現したいと思っていた「コンテンポラリーな語り芝居・平家」をやろう!

その日から、私は「1,とにかく面白がって、2,少ない予算の中で、3,古典をモダンに料理できる、誰か」を、岩の奥に潜むオオサンショウウオのように、じぃぃっと探し始めました。

そしたら、偶然、目の前にぴらっとトクマスさんが現れました。よし、捕獲。
説明すると「それ、すっごく面白いーっ!!やるーっ!」

二人で舞台のプランを固め、松本の劇場に打合せに行くと、ますます夢は膨らみ
「やっぱり…照明が要るね。どう考えても要るね…。」
いったい誰にお願いすればいいのか〜。

しばらく劇場内の稽古場などに顔を出し、
いよいよ東京に帰るかと、エレベータに乗ろうとしたら、

「あ…!」
「お…!」

エレベータから照明の横原氏が現れたのです。

出た〜〜〜〜〜〜!居た〜〜〜〜〜〜〜!!

2人がかりで、速攻アタック。
この日空いてる?舞台装置の図面これなんだけど!ね?ね?面白そうでしょ?いや、絶対面白いよ。照明当てたくなっちゃうでしょー?(←トクマス)やろうよ〜〜〜!!お金無いけど(←カネコ)。

というわけで、無事横原氏を捕獲完了!

忙しいスケジュールの合間を縫って打合せ。
「古典に全くとらわれずコンテンポラリーな明かりで、遠慮なく、ざくざく空間を作ってほしい」とお願いすると、ふんふんと話を聞いていた横原氏は、あっさり「はい、分かりました。じゃ。」といって忙しく帰って行きました。

通し稽古にも至らない立ち稽古1回を経て、当日仕込みと本番で、ぞくっとするような明かりを作った横原氏。
役者は舞台の上で明かりに助けられることが多々あります。演技に寄り添ってすっと明かりが変わるだけで感情が溢れてくることもあります。まさに物語の空間を作り、役者を存在させてくれる明かりでした。

そして、今回の公演でも、横原氏の活躍はスバらしかったです。

私が、平家全体の流れを…と選んだバラバラなお話が5つ。(こんなに難しいとは思いもよらなかった)。

美術のトクマスさんはうんうんうんうん唸り続けた挙げ句、「在るようで無い、無いようで在る」絶妙な空間を産み出しました。しかし、それは照明なくしては成立しないもの。「あとはよろしく!」と横原氏にどーんと投げて、ひたすら銀パネル制作に没頭。

私は、照明や空間の断片的なイメージは割とはっきりあったものの、肝心の語りをどう立体に組み上げるかプランがなかなか固まりません。自分で選んでおきながら「誰だいったいこんな難しい組み合わせにしたのは!」と稽古場の隅でぶつぶつ。
特に難儀したのは「橋合戦」と「坂落」の戦の違いをどう出すか。

稽古場で、例の見えない照明ビームを目から出しながら、我々を凝視していた横原氏。
思い切って聞いてみると、非常に的確な意見が。
ああ、彼の目にはシーンが見えているんだなあと何度も思ったものでした。

そして、怒濤の仕込みと最初で最後の舞台稽古を経て出てきたものは、
トクマスさんの美術を見事に存在させ、くっきりとそれぞれのシーンを立ち上げた明かり。
照明によって私は平家物語の世界に本当に生かされ、動かされていると感じました。

打ち上げで四者四様に互いの謎解きをするのもまた楽しかったです。宴もたけなわ、次第に酔っ払ってきた頃、どうやって明かりをつくるの?頭ン中どうなってるの?輪切りにして見せてみろなど、ほぼ絡み始めた私たち。すると突然、横原氏は、えへへと笑いながら
「もう…、明かりが、ほんとに大っ好きなんすよ…俺。」

く〜〜〜たまらんね。まったく。

「楽しかった−!またやりましょうね」と去っていった横原氏。
今日もどこかで「大好きな明かり」を当てているでしょうね。

そうそう、横原君、どうしよーかなーと言っていた、例の平家の本。
次回までには買っておいてくださいよ。

(しかし、私も客席から照明見たかったなぁ…。出てると見られないんだもの。)

2012年4月14日土曜日

美術家のこだわり

今回の公演パンフレットには、語り、音楽、美術、照明、四者四様の作品への思いが書かれているのですが、その中に、美術のトクマスさんが「誰にもわからないかもしれない見立て」があるんですよ、とつぶやいておりました。さて、それがなんだかわかった方はいらっしゃるでしょうか?
トクマスさん自身のブログでその答えを書いていますので、まずはそちらをお読みください。
http://to-ku-3.jugem.jp/?eid=33

お読みになりました?
…そうなんですって!

トクマスさんが最初に模型を持って現れた時、むふふと笑いながら、後ろの格子を指差しながら
「アノネー、コレ、地図ナノー、平安京」と言った時、
あまりのお茶目さに吹き出してしまいました。アホや〜この人と思いつつ、お客様は何だか分からないと思うけど、ま、トクマスさんが楽しそうだから、ハイハイどうぞ的な返事をしたような…。
するとその後の照明の横原氏との打ち合わせでもトクマスさんは、模型を見せながら「アノネー…」と説明しはじめました。
それを聞いた横原氏は「あ…ハァ…」と複雑な顔。ほれ見ろ、余りにベタで横原氏ドン引きだよ〜トクマスさ〜ん、と思いきや、横原氏ニヤリと笑って「こういうラインがあると照明当てたくなっちゃうんすよね〜」。
出た…照明家。
何かがあれば明かりを当てたくなるのが、照明家の性なのね。
その後、トクマスさんは、「デショー?ソレ、鴨川。デ、コッチガ西八条〜」などと話し続けている。それを聞いているのかいないのか、ハァとかフムとか言いながら、横原氏は目をパチパチさせて模型を凝視。あぁ、きっと横原氏の目からは見えない照明ビームが出でおり、どう当ててやろうかと企み始めたに違いない…。
模型は本番に至るまで私の家の食卓におかれ、演出や自分の動きを検証するために使わせてもらっていた。
そして、本番が終わり、今私はまんまとトクマスさんの術中にはまったと感じている。
平安京の地図なの〜というトクマスさんの言葉は体の何処かに残り続け、いつしか舞台の上で、私は、平安京を背負って立っていた。

2012年4月13日金曜日

花散る春の宵

昨日から散り始めた桜が降り積もる中
宵闇の空気を胸一杯に吸い込むと
切なさがこみ上げてきて

舞台が終わってしまったんだなぁと
つくづく寂しい。

昨日は一日異界に半分漂っていました。

難しい仕事だけれども
一つの世界を、空間を、造形する
舞台というもののしたたるようなおいしさを
久々に味わったかもしれません。

予想以上の大勢のお客様にご来場いただき
心より御礼申し上げます。初めてご覧下さる方がとても多くて
とても嬉しいです。

今回、「語り×波紋音×美術×照明」という四つ巴の舞台を見ていただきました。
題材は古典だけれども、それをいかに現代に引き寄せるか、コンテンポラリーな平家物語を作りたい。それを感じて下さったお客様も多く、私たちは嬉しいです。

たとえ言葉は分からなくても、なんだか面白かった、と思っていただければ
幸いです。

いろいろなご感想を頂いた中で、
いくつか印象に残ったものは

「古酒と新酒を一度に味わった感じ。」

「始めは難解に聞こえていた原文が次第に分かるようになってきた。」

「現代アートだと思った。」

極めつけは

「金子さん、いやあ、ずいぶんうまく現代語訳してしゃべってたねぇ。原文が聞きたかったなぁ。」

「は、はあ??? いえ、あの〜全部「原文」のままだったんですけど、、、」

「えー!?そうだったの?気がつかなかったなあ!わはは。」

もしかして最大のほめ言葉かもしれません。(笑)



ありがとうございました。

次回新作公演にもぜひお越しください。
また、昨年の「木曾三話」もいろいろな所で再演したいと思っています。

2012年4月10日火曜日

無事

初日の幕が開きました。
当日劇場に乗り込んで仕込み、興行を打つことを、乗り打ち、と言います。
本日、乗り打ち。短い時間の中で、ここぞプロの腕の見せ所と、各分野のスタッフがきっちり仕事をしてくださって、滞りなく幕が開きました。
彼らの仕事振りには本当に惚れ惚れとします。
青臭い言い方かもしれないけど、一つのことに向かって力を出し合うという究極の瞬間芸かもしれませんね、舞台というものは。もちろん、仕事ですから、彼らにとっては当然です。しかし、言い出しっぺとしては、本当に頭が下がります。責任感じます。
そして、当日も含めてたくさんのお客様がいらしてくださいました。よく、集中して、聴いてくださいました。そのパワーは確実に舞台の私達のエネルギーになっています。
さぁ、明日は二回公演。どう進化できるか。頑張ります。
おやすみなさい。



2012年4月8日日曜日

明日、初日

桜の花のパワーをお裾分けして頂き
精のつくものをせっせと食べて
今日は早寝をすべしと思っている金子です。

永田さんは今頃どうしているでしょうか?
明日どうぞよろしく。
どきどきしますね。

さて、昨日まで連載していた各章段のあらすじや見どころはお読み頂けましたでしょうか。調べるといろいろと面白いことがあって書ききれないのですが、後は、明日、劇場で、皆さんと一緒に平家物語の言葉を楽しみたいと思います。

そうそう、今回はそれほど沢山出てきませんが
「やがて」という単語、古典の中ではしょっちゅう出てきます。

これ、どれくらい時が経つ意味だと思いますか?
なんとなく、少し時間が経ってからという感じで日頃使ってませんか?

しかし、古語辞典を引くと「間もなく、続けてそのまま」と出ています。
その意味を知って古典の文章を読むと、状況が正確に分かります。

今回は二位尼が入水する時に、「やがて」と出てくるのですが、
そこは、のんびりと入水するのではなく、安徳天皇をなぐさめたら、すぐにそのまま海に飛び込むということなんです。
このことがわかると心情が一層伝わってきます。

おまけでした。


***********

「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

2012年4月7日土曜日

先帝身投

さて、いよいよ、今回のクライマックス、壇ノ浦における安徳天皇の入水のお話です。
平家と言えば壇ノ浦でしょう…と思いきや、一連の壇ノ浦のどのお話も、連続ものになっており、この続きは次回のお楽しみに〜〜〜という構成になっており、とても一つなんて選べません。これは昔の琵琶法師達の、次も聴いてもらおうという営業戦略だな…などと思いながら読み進めてみると、この壇ノ浦の合戦、始めは船が何千艘といった軍勢全体の描写なのですが、その後は、個々の武将達の戦い振りの描写に移っていきます。ものすごく物量感のある迫力あるシーンだったような気がしていたのですが、一人一人の戦い振り、つまり死に様生き様のディテールを積み重ねてこその戦の迫力なのだと言うことがあらためて分かります。

とても沢山面白い話があるので、ぜひ又別の機会にお聴き頂きたいとおもいますが、今回は、もう、平家にとっていよいよお終い、という安徳天皇の入水のお話をお聴かせいたします。

とても短いシーンです。

あらすじを見てみましょう。

ーーーー

1185年(元暦二年)3月

大将軍の平知盛は小舟に乗って安徳天皇の船に赴き、「世の中は今はこれまでと見えました。見苦しいものをみんな、海へお投げ入れください」と言って自ら船を掃除した。知盛からの知らせで覚悟を決めた清盛の妻・二位殿は、落ち着いて喪服に着替え、三種の神器のうち、神璽を脇に抱え、宝剣を腰に差して八歳の安徳天皇を抱いて船ばたへ歩み出る。
「尼ぜ、私をどこへ連れていこうとするのだ」と問う安徳天皇に対し、二位殿は「極楽浄土という結構なところへお連れ申し上げますよ」と泣きながら答える。幼帝は涙を流しながら手を合わせて念仏を唱えたので、二位殿は幼帝を抱き、「波の下にも都がございます」と慰め、海中に身を投じた。

ーーーー

たったこれだけなのですが、8歳の安徳天皇のあどけない様子が、運命とはいえ、命を絶たれなければならなかったむごさをいや増しており、本当に胸が痛くなります。二位尼は安徳天皇にとってはおばあちゃんにあたります。清盛亡き後、一門の運命を見守ってきた彼女にとっては、かねてからの覚悟で「私は女だが、敵には絶対に捕まらない。天皇のお供に参るのだ。志のある人は急いで後に続きなさい」といって、船端に歩み出ます。安徳天皇は海に向かう祖母を見て「どちらへ連れていこうとするのか」と聞きます。二位尼は「せっかく天皇に生まれたけれども、ご運は尽きてしまった。東に向かって伊勢大神宮にお暇を申し、西に向かって西方浄土から仏様達にお迎えにあずかろうとお念仏をお唱えなさいませ。この国は悲しい嫌な所ですから極楽浄土という結構な所に連れて行って差し上げますよ」と泣きながら申し上げます。すると8歳の安徳天皇は「御涙におぼれ」というのですから、激しく涙を流しながら、ちいさなかわいらしい手を合わせて言われたとおりにするのです。

…書いているだけでもこちらが御涙におぼれそうです…

「波の下にも都のさぶらふぞ」となぐさめ奉って千尋の底へぞ入給ふ。

…そんなもの、そんなもの、ないのに…いくら慰めても、結局は大人の都合で子供が犠牲になるのです。せめてこの幼い子には都があってほしいと願わずにはいられません。

原典平家物語はこの後、知盛を始め入水し命を絶つ人々や、宗盛親子のように往生際の悪さに味方から海へ蹴落とされるといった様々な平家の様子を描いています。

一ノ谷の合戦から一年、瀬戸内海を船で漂流し続けた平家一門。
その最盛は20年にも満たないものでした。

ーーーー

構成段階から散々、スタッフに相談しながら、解説を舞台上で入れるか入れないかで悩みつつ、やはり今回もきっぱりと解説は入れないことに決めました。
まるごと原文の世界に浸って感じて下さい。

このブログに載せてきたあらすじや出来事の背景などは、当日のパンフレットでお読み頂けます。



2012年4月6日金曜日

坂落

「鵯越の坂落し」と言えばご存じの方も多いと思います。

源氏は、梶原、熊谷の攻撃をもってしても、堅牢な一の谷をなかなか落とすことができませんでした。
平家が城郭を構えた一の谷は、目の前が海で、背後に険しい断崖を背負った天然の要塞。
大手から攻めていても勝ち目がないと、九郎御曹司義経は搦め手に回り、背後の鵯越の断崖絶壁から3000騎の兵で奇襲をかけたという話です。

あらすじを見てみましょう。

ーーーー

寿永3年 2月

一ノ谷(神戸)に城郭を構えた平家を討とうと、義経は一ノ谷の背後に位置する高台・鵯越(ひよどりごえ)に到着。断崖絶壁の上であり、平氏は山側を全く警戒していなかった。
義経は無人の馬を試しに追い落とし、三頭が無事に駆け下りたことを確認すると、「心して下れば馬を損なうことはない。皆の者、駆け下りよ」と言うなり先陣となって崖を降りていく。だが、苔むした大岩石がまるで垂直に十四、五丈(約45メートル)も切り立っている途中まで降りてきたときは、あまりの険しさに兵たちも「もう最後だ」と観念する。
そこに佐原十郎義連(さわらのじゅうろうよしつら)が進み出て、「三浦(神奈川の三浦半島)では、鳥一羽を追うにもこれしきの坂は駆けている。三浦では、これは馬場だ」と言うなり真っ先に駆け下りたので、三千余騎もみな続き、人馬もろとも怒涛の勢いで一気に急な崖を駆け下りた。人間業とも見えず、鬼神の仕業かと思われた。
義経隊の鬨の声は山々に反響し、まるで十万の大軍のように響いた。平地に降り立つと平家の陣に突入。奇襲に驚いた平家方は大混乱となり、義経軍の村上判官代基国の手の者が火を放つ。平氏の兵たちは海に逃げ出すが、多くが船に乗れずに海で溺れ、味方に切られる者もあり、平家は総崩れとなって四国の八島へ落ちのびる。

ーーーー

この戦は、「橋合戦」で源平が初めて戦をしてから4年後の事です。
橋合戦と大きく印象が違うのは、戦はいよいよ激しくなり両軍とも疲弊感が漂っていることです。ことに、きらびやかな武将達がうち揃って宇治橋に進軍していった事を思い出すと平家のこの後の運命を嫌でも感じざるを得ません。

冒頭では、兵達の凄惨な戦い振りが淡々と語られています。

…怪我をした兵を肩に担ぎ後ろに逃げていく者あり、傷が浅いので戦い続ける者あり、深手を負って討ち死にする者もあり、馬を押し並べて組んで落ち、差し違えて死ぬ者もあり、取って押さえて首をかくもあり、首をかかれる者もあり…

音のない、まるで絵巻物の部分をアップであちこち見ているような、そんな風に感じられます。

この章段は誰か一人の人物を描くというよりも、語り手(作者)の視点が、どこかクールに、でも、遠くから近くから対象を見て、自在に変化するのが興味深いシーンです。

おなじ戦でも橋合戦とは全く違いますね。

このシーンの最後は、算を乱した平家の軍勢が汀に泊めてある大船に我先にと大勢乗って船が沈み、身分の高い人だけしか乗せないといって取り付く雑人どもが腕を切られ肘打ち落とされて一の谷の汀が真っ赤に染まり死骸が並み伏した、数々の戦で一度も負けたことのない能登守教経でさえ、何を思ったか四国の八島へ落ちていった。

というものです。とても短い言葉の中にものすごい物語が語られているのです。耳をそばだててお聞きになって下さい。

皆さんの頭の中に合戦の絵巻物が浮かぶといいなあと思っています。


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「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp


2012年4月5日木曜日

橋合戦

チラシには書いてありませんが、今回は「橋合戦」という短いシーンを追加しました。
平家物語の醍醐味はやはり合戦のシーンの描写の迫力にあります。
昨年の「木曾義仲三話」で合戦シーンの面白さに味をしめてしまった私と永田さん、当初から選んでいる「坂落」が全く異なるシーンなので、やはり賑やかな場面も折り込もうということになりました。

この橋合戦は、平家物語の中で、源平の初めての戦です。ですから、なんとなく両軍にも力がみなぎっていて華やかだったり元気だったり、そんな感じが伝わってきます。

あらすじを見てみましょう。

「橋合戦」治承四年五月

即位の道を断たれ、平家打倒に立ち上がった後白河法皇の子・高倉宮以仁王(もちひとおう)の軍勢が、宇治橋を舞台に平家軍と戦う。平家方は序盤、劣勢に追い込まれるが、馬にイカダのような隊列を組ませて川を渡り、平等院になだれ込む。
平家物語の中で最初となる合戦場面。まだ勢いのあった平家方が勝利を収めるが、この動きが平家打倒ののろしとなり、以後、日本は源平の争乱という未曾有の動乱時代に入る。


源頼政の勧めにより平家に背いた高倉宮は、味方につけた三井寺(大津)の僧兵とともに興福寺(奈良)へと向かう。だが途中、前夜の睡眠不足がたたったのか、高倉宮は六度も落馬。そこで、追ってくる平家方に宇治橋を渡らせないよう橋板三間分をはずし、平等院でしばらく休憩を取った。平家方は橋板がないのを知らずに橋を渡ろうとしたため、先鋒の二百余騎が川に流された。
高倉宮方の僧兵の一人、筒井の浄妙明秀(じょうみょうめいしゅう)は、弓、長刀、太刀を持ち替えつつ橋桁の上を進み、蜘蛛手や十文字、とんぼ返りなどの妙技を見せながら切りまくるなど、活躍。橋の上の戦いは火が出るほど激しさを増した。
追い詰められた平家方だったが、関東武士の足利忠綱(あしかがただつな)が進み出て、「関東武者の常として、敵を目前にし、川を隔てた戦いで水の深さなど選り好みすることがあろうか」と、自ら先頭に立って馬を川に乗り入れた。忠綱は大声で指図しながら馬に隊列を組ませ、三百余騎を対岸へ上陸させた。

ーーーー

言葉だけで、戦の躍動感あふれる様を表現しているのですから、是非言葉のリズムや力強さを堪能していただきたいです。場面の最後は、足利又太郎忠綱が利根川を渡った時の渡り方を大声で指図します。
「強い馬を上手に立てよ、弱い馬を下手にせよ。馬の足の立つ間は手綱をくれて歩かせよ、馬が踊り上がったら手綱を引き締めて泳がせよ。流されたものは弓の筈にとりつかせろ。手を取り組み肩を並べて渡すようにしろ。鞍壺にしっかり乗って鐙を強く踏め。馬の頭が沈んだら引き上げてやれ、強く引いてひっかぶるな。水が浸ってきたら馬の三頭の上に乗りかかれ馬には優しく、水には強く当たれ、川中で弓引くな、敵が射てもそれに応じるな、いつも兜のシコロを傾けよ、あまり傾けすぎててっぺんを射られるな。流れと直角に渡して押し流されるな。水に逆らわないで渡せや渡せ。」

思わず、ほほぉ〜と唸ってしまいました。
このハウツーなら本当に河をわたれそうな気がしてきます。
こんな具体的な描写がとても面白いんですよね。

人生で、もし、こういう場面に出くわしたら
試してみようかな、と思ってます。(笑)


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「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp




2012年4月4日水曜日

文化放送 くにまるジャパンに出演しました!

くにまるさん、涙子さん、とーっても楽しいひとときでした!ラジオってやっぱり素敵だなぁ。
すごく興味を持っていろいろ聞いてくださって嬉しかったですね。実際に祇王と坂落のさわりもやらせて頂き、永田さんの波紋音と私の語りを聴いて頂くことが出来ました。
公演の詳細はこのページの右側などに書いてあります。ぜひお読み頂き、皆様のお越しをお待ちしております!

2012年4月3日火曜日

嵐の宴

今日は劇場でのリハーサルでした。
嵐になるとの予報のなか、強風吹き始めたころに劇場入り
夕方リハが終わった頃は電車が止まり始め
外を見れば暴風雨!!
これは帰れないなあ、と打合せをかねて劇場のカフェに。
さすがに誰もいなくて我々だけの貸し切り状態。
コーヒー頼んで後は水呑百姓でさんざん打合せをしてもまだ外は暴風雨。
さすがにおなかも減り、じゃあ〜〜〜〜呑むか?
ということでワインとつまみとパスタで宴会に(笑)。
まさかここで呑むとは〜〜と言いながら
なんだか結構盛り上がりました。
結局午後八時に雨が止んだので
無事帰途につくことが出来ました。
たまには嵐の中の宴も悪くないですね。

2012年4月2日月曜日

祇王

「祇王」というお話はあとから挿入された説話ではないかと言われています。他と文章のタッチも違うし、がっつり女人往生の話だし。本によっては挿入されている場所もまちまちです。
登場人物が細かく見れば1000人近くいる平家物語は、その98%が男性といっても過言ではありません。まさに男の物語です。きっと語り伝えていくうちに、「美しい白拍子が清盛に翻弄される」というお話は民衆にとってキャッチーだったのかもしれません。

ちょっとあらすじを見てみましょう。

ーーーー

栄華を極めた清盛は、横暴な振る舞いが多かった。
白拍子(男装の舞姫)の祇王は清盛の寵愛をうけ、一家はたちまち富み栄えた。しかし三年が過ぎたころ、十六歳の若い白拍子の仏御前が清盛の屋敷、西八条邸を訪ねてくる。清盛ははじめ追い返すが、祇王のとりなしで歌を聴いてみることにした。
すると清盛は思いもよらずその歌や舞に心を奪われ、祇王を追い出し、仏を迎えることに。
祇王は「萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草 いづれか秋にあはではつべき(草木が春に萌え出るのも(仏御前)、冬に枯れるのも(祇王)、もとは同じ道端の花。いずれも凋落の秋(飽き)にあうのが定めなのだ)」という歌を障子に書きつけて西八条邸を立ち去る。

その後祇王は、母親と妹とともにひっそりと暮らしていたが、清盛の使者を通じ、退屈しがちな仏御前を慰めるために屋敷に出向き、舞を舞うよう命じられる。
祇王は母親に説得されたこともあり、しぶしぶ屋敷に出向いた。屈辱に耐えながら、「仏も昔は凡夫なり 我らも終には仏なり いづれも仏性具せる身を へだつるのみこそかなしけれ(仏も昔は普通の人だった。私たちもしまいには仏となれるのだ。いずれも仏の本性を持つのに、それを分け隔てるのは悲しいことだ)」と泣く泣く歌った。

この屈辱に絶望した祇王は自害したいと言い出すが、母のとぢにいさめられ、二十一歳の若さで出家を決意。十九歳の妹と四十五歳の母もともに出家して嵯峨の奥の山里に庵を造り、念仏を唱えて暮らしていた。
春が過ぎ、夏が過ぎた秋の日のある晩、その庵の戸を叩く者がいた。開けてみるとそれは仏御前だった。仏御前は涙をおさえて、自分をとりなしてくれた祇王を貶めてしまったこと、 自分もいつか同じ道をたどるだろうと悟ったことなどを語り、かぶっていた衣を払いのけると、仏御前は頭を丸めていた。
祇王は仏御前を許し、四人は極楽往生を願ってひたすら念仏をとなえ、やがて往生した。

ーーーー



何年か前に、「祇王」の一人語りをやった時、あなたは女性だから清盛に捨てられた女の悲しい気持ちは分かるでしょうと言われて、困ってしまったことがありました。

女性と言ってもいろいろなタイプがいるし、一概に分かると言われても〜〜。(しかも私はどちらかというと耐えるタイプじゃないし〜〜〜)正直、当時の私は、演じてはいるものの女々しい感じがしてあまり共感できませんでした。

現代的に言えば、祇王は手に職があるのだから、男に頼らず生きていけばいいんじゃないかなあ…とか(←これは永田さんの最初の感想もそうでした〜)、母親のとぢもいかにも年老いた母らしくごちゃごちゃ言っているなあとか。仏御前は若くて浅はかで…。それでもってみんなで涙で袖をぬらしてばかり〜〜〜ああ、なんだかいらいらする!

しかし、
今回、もういっぺん読み返してみたら、

あれ?なんだか分かる。

祇王の悔しさや出家しても尚、心の苦しみから逃れられないことや、愚かしいまでの母親の心配がものすごくよく分かるのです。
自分も歳をとったんだなあ、とつくづく思いました。

そして何より、仏御前という人物がたいした女性だと思えました。
彼女は自分の芸を清盛に見せたかっただけで、祇王を追い落とそうとはこれっぽっちも思っていなかった。ずっと悔やんでいて、とうとう自分から清盛の寵愛を捨ててきたのです。まだ17歳にしかならないのに。

誰の心の内にも祇王がいて仏御前がいてとぢがいる。
これは4人だけど一人の女性なのではないかと思い始めました。
今はすべての登場人物がいとおしく思えます。
みなさんは、この「祇王」に出てくる4人の女性たちをどんな風に感じるでしょうか。

そうそう、ちょいちょい出てくる清盛の勝手振りも、すごく面白いですよ。
注意して聴いてみて下さい。

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「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

2012年4月1日日曜日

祇園精舎

祇園精舎の鐘の声…
誰もが暗記したことのあるあの有名な文章の続きに何が書いてあるかご存じですか?

ちょっと現代語訳をご紹介しましょう。

祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きをたてる。釈迦入滅のときに白く変じたという娑羅双樹の花の色は、盛者必衰の道理を表している。ただ春の夜の夢のように儚いものである。勇猛な者もついには滅びてしまう。全く風の前の塵と同じである。驕り高ぶった人も、末永くは続かない。外国の例を探してみると、秦の趙高や唐の安禄山など、これらはみな旧主先皇の政治にも従わず、楽しみを極め、人の諫言も聞き入れることもなく、天下の乱れることを悟らずして、民衆の嘆き憂いを顧みなかったので、末永く栄華を続けること無しに滅びてしまった者どもである。近く我が国にその例を探してみると、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼、これらは皆驕れる心も猛悪なこともそれぞれに甚だしかったが間もなく滅びてしまった。ごく最近では六波羅の入道、前太政大臣平朝臣清盛公と申した人の驕り高ぶり横暴な有様は言葉で言い表せないほどである。

…「栄華」という言葉は今の政治には当てはまらないけれど、この文章の後に思わず最近の我が国の政治家を並べ連ねたいほど。
読めば読むほど、今この時代に重なってきます。

原文はこの後、清盛の先祖が誰誰でもとは皇族であったが、人臣に連なり清盛の祖父正盛までは、諸国の受領(知事とか役人)だったけれど、まだ宮中に昇殿を許されなかった。と結んでいます。

有名な「諸行無常」が印象に強いこのオープニング、実はこのような乱れた世にした原因は時の為政者達だということをしっかりと言っていたのです。

192章段に及ぶ壮大な物語をたった4つほどでまとめるのは難しいですが、そんなことも頭のの隅に置きながらご覧いただければと思います。


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「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

2012年3月28日水曜日

出演のおしらせ

3/30 12:20〜12:50 
FM西東京「○○ランチボックス まちともコーナー」→サイマルラジオで聴けます。
http://842fm.west-tokyo.co.jp/program.html#lunch

4/4 11:00〜11:15
文化放送「くにまるジャパン」
http://www.joqr.co.jp/japan/

4/4 14:10〜20
J-wave「Rendez-Vous」Wonderful Essence
http://www.j-wave.co.jp/original/rendezvous/essence/

2012年3月22日木曜日

言葉のリストラ

今回の平家物語公演では
4つの章段
「祇園精舎」
「祇王」
「坂落」
「先帝身投」
をやります。
平家物語の言葉は現代の言葉と文法もほとんど変わらないので、
慣れてしまうと現代語と同じように読んだり聞いたりすることが出来ます。
とはいえ、舞台では初めて聞く、というお客様にも楽しんでいただきたいので
周りの人を捕まえては「これは聞いていてニュアンスが分かるか?」と確認しまくっています。

なかでも祇王はとても長いので、
(これだけで1ステージ出来てしまう…)
全体のバランスを考えて少々カットすることにいたしました。

どの文も切り難い…しかし、心を鬼にして、まずはざくざくとカットしてみました。

声に出して読んでみます。

あら?

確かに時間的にはものすごく短くなったのですが〜〜〜、
ひどくあっさりとしてしまって
清盛の横暴な威圧感や祇王の心の内の揺れ動きがなんだかよく分からない。。。。。

「7時の平家ニュース」

だったらこれでもいいかも。

でもおもしろくない。全然面白くない。芝居としてもなんだかやりにくい〜〜〜。

750年以上にわたって磨かれてきた言葉のかずかず。
ああ、無駄な物がないんだなあとつくづく思いました。
余分に思えるような情景の描写こそが
登場人物の心情や状況をいかにあらわしているか。
武将の名前の羅列がいかにビジュアル的か。

ニュアンスがたっぷり伝わるように、リストラした言葉達をまた再雇用。

リストラすりゃいいってもンじゃないのだということをつくづく感じました。


ほどほどで参ります。
お楽しみに。

2012年3月21日水曜日

「地獄」

東日本大震災一周年の3月11日。
この一年を思うと、なんと言っていいのか言葉が見つかりません。
追悼式で岩手、宮城、福島の遺族代表が言葉を述べられました。
大切な家族を亡くされた悲しみが痛いほどに伝わり胸が締め付けられました。
犠牲者のご冥福と遺族の皆様の悲しみが癒されることを心からお祈り申し上げます。

その中で、宮城県の奥田さんの言葉が耳に残りました。

「…見渡す限りの惨状に地獄はここだと思いました。」

どこかで聞いたことがある……

なんだろうと考えてみると、
平家物語に同じような言葉が出てくるのです。

正確に言えば「地獄」という言葉が使われているわけではないのですが、
厳しい運命に翻弄されながら戦の場面が重なっていく後半などは、
まるで地獄のようだと描写している場面が少なくないのです。
何万騎もの武者達が折り重なり折り重なり倒れ伏している光景は
語っていても背筋が寒くなるほど恐ろしいものがあります。
人間の力強さも小ささもすべて描く平家物語。
歴史をくり返しながら私たちは先祖からの命をつないできたのだ
とあらためて気づかされます。

そして、その地獄は又、為政者の我執によるものだということも平家物語は描いています。

いま、この時代に平家物語を上演することは、
そうしたことをあらためて浮き彫りにするということなのかもしれません。


2012年3月19日月曜日

美術家来宅

雨模様の土曜日
はるばる(道が混んでたから)数時間かけて美術のトクマスさんがうちにやってきました。

別に、遊びに来たわけではありません(笑)。

前日の永田さんとのリハーサルの録音を聴きながら
最終的な美術と演出の打合せです。

音のイメージが加わった録音を聴きながら
トクマスさんは「おお、シーンが見える〜」と模型を見ながらごそごそ検証し始めました。

この平家物語は語り物として伝わった物語です。
とてもシンプルで、見る方聞く方の想像力が大きなポイントになります。

前回もそうだったのですが、

トクマスさんとは本当にディスカッションを綿密に重ね、私は、演出と言うよりも一体となって空間を作っている感じがします。もちろん、最終的なディテールはトクマスさんの緻密な計算によるもの!どうぞお楽しみに。
実は今回の装置には彼女のこだわりが隠れているのですが、私たち全然気づきませんでした〜〜〜。
トクマスさんのブログにもちらっとそのことが載っています!
http://to-ku-3.jugem.jp/

舞台の模型。お見せしたいけど〜〜ひ・み・つ。

2012年3月17日土曜日

音とともに組み立てる

これは不思議ちゃん系の音なの。と永田さん
昨日はエフエム世田谷の後、永田さんとリハーサルをしました。
照明やら演出を考えるその前に、なんと言っても、語りと音をどうやって組み立てるかが決まらないと話になりません。永田さんもそれぞれの章段をどの音をメインに作っていくかがある程度はっきりしないと進むべき方向が見えないと思います。音を作るのは永田さんですが、私は、語り手として構成・演出として、この作品をどう理解し何を伝えたいのかを永田さんに伝えます。

「祇園精舎」「祇王」「坂落」「先帝身投」
それぞれの作品の「音」を考えていく課程で、面白いことに、私にとってもお話のポイントが自ずと定まってきます。音が入るから見えてくる情景や人物像など、本当に一刀彫りの彫刻のようで、中に埋まっている姿を取り出すような感じがします。

「ここはこう、ずんずんと軍隊が迫るような感じ」とか
「クレイジーな義経の目がきらっと光る感じ」とか
「じゃんじゃん矢が飛び違う音」とか
「黄昏の音」とか、感じていることを話すと
永田さんは
「え〜とたそがれ、たそがれ、これかな?いやこっちかな?」「はい、矢合わせの音ね!」と思いつく音をいろいろ提案してくれます。
まるで錬金術か魔法使いのようでした(笑)。
それを何時間も何時間も二人でああでもないこうでもない、と謎解きをしながら音を決めていくのはものすごく面白い作業です。もう、たまりません。本当にびっくりするほどお話が面白くなってきます。

しかし、この波紋音という楽器。
いくら聞いてても全く飽きないんですよねぇ。

2012年3月16日金曜日

ラジオってやっぱりいいなあ!

今日は初めてエフエム世田谷にお邪魔しました。パーソナリティ奈良禎子さんの「悠ゆう素的」という番組で、和のテイストにこだわった素敵な生放送の2時間番組です。

エフエムに着いたときにはもう番組は始まっていましたので、私たちが奈良さんとお目にかかったのは放送中のスタジオに入ってからでした。事前の打ち合わせは出来ませんでしたが、丁寧なリサーチと奈良さんの上手なインタビューで、たっぷり40分ほど、永田さんと私の出会いや、波紋音の紹介、平家物語の面白さや今回の見どころなどお話しさせていただきました。奈良さんはもちろん波紋音は初めて。興味津々な様子がそばで見ていてとても嬉しくなってしまいました。

そして、今日は「祇王」と「坂落」のさわりの部分を実際に永田さんの波紋音演奏とあわせてご披露しました。

ラジオでやるのも面白いですねぇ。ラジオドラマみたい。
永田さんも私も、結構テンションがあがりほんの一瞬とは言え夢中になりました。
ああ、実際にはどう聞こえたのかしら?場面を想像してもらえたでしょうか。

そして何より、久しぶりのラジオ。
ラジオっていいなあ。面白い。
一昨年から昨年にかけて、むさしのFMで生放送番組のパーソナリティをやっていた感覚が蘇って、本当にうきうきしてしまいました。

番組が終わると早速メールが、、、
相方のパーソナリティのテリーから!
「…あいさん、途中でゲストじゃなくてパーソナリティの面がでてたよ〜…」
あ。
やっぱり?

習い性ってこわい〜。無意識にそうなるんですねぇ。

ともかく、とっても素敵な番組でした!

ありがとうございました。







2012年3月15日木曜日

3/16金 エフエム世田谷に出演します。


ラジオ出演のお知らせです。
今週の金曜日、3月16日に金子あいと永田砂知子が、エフエム世田谷「悠ゆう素的」に出演します。 この番組は「和」の面白さや素敵を紹介する番組で、奈良のFMとも提携しているとか。なかなか特徴のある番組で面白そう!今から出演するのを楽しみにしています。
放送時間は午前11:30〜12:00の間。
電波が飛ぶ地域は、世田谷のほかに、杉並、中野、渋谷、目黒、狛江方面。
エフエム世田谷83・4MHz
パソコン、スマートフォン、iphoneなどでも聞くことができるようです。
詳しくはエフエム世田谷HPご覧ください。http://www.fmsetagaya.co.jp/ 
平家物語の見どころや、どうやって二人で音と言葉を組み立てていくのかなどご紹介できたらいいなあと思っています。波紋音の演奏と語りのさわりの部分もやる予定です。波紋音の音をまだ聞いたことがない方ぜひお聴き下さい!
*予告 来月4月4日 文化放送「くにまるジャパン」に金子&永田が出演の予定。

2012年3月7日水曜日

予約がぞくぞく

あちこちでご紹介いただいたのでずいぶん申込みが増えてきました。うれしいですね!
ありがとうございます!!まだ、お席がありますので是非お申し込み下さい。

何人かの方からお問合せがあったので、ちょっと書いておこうと思います。

語りと波紋音の演奏は別々ではなく一緒に物語を作っていきます。
そしてこれが面白いところなのですが、音が空間を感じさせたり、勢いを付けたり、本当に世界が広がります。でもいっしょになって泣いたりするとべたつくんですよね。これは私の好みかもしれませんが。きっぱりとぶつかり合うことであふれ出る平家の世界というのを目指したいなと思っています。

それから語る人と舞う人は別ではありません(笑)。私です。

そんなわけで久しぶりに仕舞の稽古に行ってきました。
背筋が伸びて、こんなに気持ちよかったっけ??と新鮮な発見。
しばらく行かないうちにお稽古場も池田山にかわり
すごく立派で快適な能舞台なのです。

「折り目」というのが今日のキーワードでした。
勉強になりました。

2012年3月6日火曜日

3/4付 朝日新聞折込 asacoco 第18号に取材記事が載りました!

前身のアサヒタウンズから根強い読者のいる多摩地域のタウン紙「asacoco」。武蔵野市〜西側に33万部配布されています。イベント情報やお得なお店情報など、読みどころいっぱいです。
今回の平家物語公演についてたっぷりじっくり取材して下さいました。とってもいい記事なのでご紹介します。そんなのあったかな?という朝日読者の皆さま古新聞置き場へレッツゴー!
(といいつつ、この大きさで読めるのかしら?ちょっと載せてみます)

2012年2月29日水曜日

インタビュー記事「しんぶん赤旗」


私の盛りだくさんのおしゃべりの勢いが感じられるインタビューです。まとめるのにご苦労なさったでしょうね。ありがとうございます。
















余談ですが、正しくは「千手の前」です。私の滑舌が悪く「舞い」に聞こえてしまったのかもしれません。

やっとこ参加。遅くなりました。

皆様 初めまして 美術を担当するトクマスです。
文章はあまり得意な方ではありません。ひとつお許しを。

さて 26日のブログのタイトル「言うは易し、産むは難し」通り、
頭ん中に浮かんでくるプランのどれもがビンゴじゃない"時"を過ごしておりました。
それがね、26日の深夜に揺るぎない形となって「ポッ」っと前頭葉に浮かびまして…。
今こうしてご報告方々ブログを書いております。

あいさんも書いてましたが
昨日の深夜、8割かた完成していたそのプランを元に、
あ~でもないこ~でもないとスカイプでくっちゃべった結果、
得(う)るは、捨つるにあり。
削ぎ落としぃ~の、ある形に転用しぃ~ので、めでたくプランはFIXとなりました。
これから実現に向けて各方面との擦り合わせです。
(擦り合わせというより拝み倒すと言い換えた方が好いかもしれない?)

で、どんなプランなのかが気になる方もおいででしょうが
それは幕があくまでのおたのしみ!として下さいませ。
ただ、一つだけ申し上げるとしたら、
観終わったお客様が"時間"を感じてくれたらいいなって思ってます。
ただ単に、そこに4部作が"あって"、あぁそういうお話だったのね、っていうのではなく、
平家の興りから滅亡までの"時"をも感じてくれたら最高に嬉しいです。

というか、ワタシ自身がそれを観たくて、産まれたプランです。
在るけど無い。無いけど在る。
そんな空間の中で生きるあいさんと永田さんと横原氏の照明が今から愉しみでならない。


2012年2月28日火曜日

永田より  あいさんへ


この場は、交換日記ではないが、今このブログを見たら私のことがでていたので、私もここに書くこととしよう。
昨年の平家では、木曾義仲がテーマだった。倶利伽羅落としの合戦の場面や、木曾最期で巴御前や木曾義仲が最後の力を振り絞って戦うう場面など、戦のシーンが大変多かった。あいさんがそういうところでとても生き生きと演じていたのが印象的だったのだ。
言い方は変だが、武将の姿がとても男らしくりりしかったのだ。
今回取り上げる「坂落」は、それに比べると、文章のテンポ感がおだやかな気がしたのだ。音楽で言うとアンダンテくらい。アレグロやプレストの部分があると刺激的でおもしろいのにな〜とちょっと思ってしまった。
あいさんの言う、舞台を発掘する、ということがどういう意味を持つのか私にはまだわからない。
でも、何か良い方向がみつかったような予感もしている。
彫刻家が立体を作るように、台本、美術、音楽でもって、ひとつの立体作品をつくっていくんですね。
次回会うときを楽しみにしています。
永田砂知子より
 

すでにそこにあるものを取り出す

数日前、波紋音の永田さんからメールがあった。戦のシーンが物足りないという。
確かに。
永田さんは音で考える。例えが時々音楽用語になるので新鮮で面白い。
「私はやっぱりあいさんに戦のシーンを語らせたいのよ」という永田さん。本当は永田さんの方が戦のシーンに味をしめてしまったのを私は知っている。血湧き肉躍る戦闘場面こそ平家物語の醍醐味と言える。
さてさてどうしようかな。
そして昨夜はトクマスさんとスカイプで深夜会談。送ってもらったスケッチをみながら、ああでもないこうでもない。すると、ふとアイデアが浮かんで来る。
これから作る舞台は、多分、あるべき姿が舞台に埋まっていて、私たちは、それをひと刷毛ひと刷毛砂を払って発掘する役目なのではないかと思えて来た。
金子あい

2012年2月27日月曜日

本日2/27付 しんぶん赤旗に「平家物語」の取材記事が載りました

昨秋からずっと声をかけていただいていた、しんぶん赤旗に取材していただきました。
「ひと」欄です。
私スケジュールと移動の関係で、取材場所は代々木の共産党本部!
ちょっと緊張しましたね(笑)。

記者の田村さんはとても素敵な女性で、一時間以上、私のノンストップおしゃべりを聞いて下さいました。話は大変盛り上がり、あっちへ飛びこっちへ飛び、特に「マイノリティをいかに広め伝えていくか」という点では意気投合しました(笑)。大変楽しいひとときでした。

「お話頂いた10万分の一も掲載できないかもしれませんが〜〜」と田村さんがおっしゃっていたので、掲載されたな文章の10万倍以上私がしゃべったと思っていただいて、間違いありません(笑)。
機会がありましたらお読み下さい。

掲載紙が手元に届きましたらまたご紹介します。

2012年2月26日日曜日

言うは易し、産むは難し。

ある日の夕方、平家の原文を声に出して聞かせながら
思いついたイメージを舞台美術家トクマスヒロミにしゃべりまくる金子。
しかしそう簡単にコレだっというものは産まれません。
いずれ何かが降りてくるためにトクマスヒロミは脳内でアイデアこねこね
スケッチかきかき。
金子は勝手にごちゃごちゃ。いつしか夜は更け
んじゃまたねと去っていくトクマスさんでした。

2012年2月24日金曜日

永田 ご挨拶


こんにちは、波紋音の永田砂知子です。
昨年好評だった、「平家物語・語りと波紋音」、今年も良い舞台にしたいです。
皆様、どうぞ宜しくお願いします。
永田砂知子

これはギネス記録かも…?


気合いのこもった今回のチラシ、
そろそろあちこちの劇場でも目にしていただいているかもしれません。

さて、このチラシ、実は2代目です。
最初のチラシを一部に配り始めたとき、電話がかかってきました。

「あいさん…大変!日付が〜〜〜」

いやいや、4/9、10であってますよ?

「そうじゃなくて…」

曜日?あってますよ?

「100年後のイベントなんですけど〜〜〜生きてます?」


え””〜〜〜〜〜〜〜〜!!!??????


ひっくり返るほど笑ってしまいました。


ほとんどの人は間違いに気づかないですね
でも、種明かしするととってもうけてくれます(笑)。

ふたりとも案外100年後も生きてるんじゃないか、とか
これギネスものじゃない?とか
だれも気づかないでしょ〜とか

ひとしきり盛り上がって、これはこれでいいかなあ、なんて思ったりもしながら
そんなに笑える演目でもないので、ちゃんと作り直しました。

今は今年のチラシが出回っています。はい。

チラシのご郵送をご希望の方は、ご連絡下さい。

非公開なのでこのコメント欄に宛先とお名前を書いて頂いてもOKです。






2012年2月19日日曜日

チラシができあがりました〜♪





自分が主催する公演やイベントのチラシはだいたい自分でデザインします。つくりながらそのイベントや舞台で何を伝えたいか、どういうものにしようかを考えているようなところもあって、もやもやと渦巻いているものがクリアに形になったときはすっきり嬉しくなります。今回チラシに使った舞台写真は昨年秋にまつもと市民芸術館で公演したときのものです。
さて皆さんにこの舞台がどんな感じなのか、伝わるといいなあと思っています。

金子