2012年6月5日火曜日

6月の平家物語サロンに出演します


お知らせが間際になってしまいましたが、来週、神田で行われる「平家物語サロン」に出演します。小さな会ですが、毎回、お茶とお菓子を召し上がって頂きながら、豪華出演者のDVDを観て、生の朗読を聴き、とっても分かりやすい解説もあり、今回はさらに私の朗読ワークショップまでついてくるという、とってもお得な会です。
よろしければ是非ご参加下さい♪

【日時】2012年6月14日(木)
  1部 15:00〜16:30/2部 19:00〜20:30
  ※受付は30分前から
【参加費】2,000円 お茶・お菓子付き

【プログラム】
1,よく分かる!平家物語解説トーク 橘 幸治郎
2,DVD上映
  「重衡生捕」(映像出演:片岡愛之助)
  「海道下」(映像出演:今藤長十郎、杵屋直吉 他)
3,朗読のワークショップ「鶏合 壇浦合戦」金子あい
4,朗読 「千手の前」語り手:金子あい

お申込・問合せは
NPO法人 原典「平家物語」を聴く会 事務局
TEL.0120-94-1044・03-6673-3863
info@heikemonogatari.jp




私の平家物語との出会いは、こちらの会からお声をかけていただき、10年ほど前に舞台で「千手の前」の語ったのが始まりです。なんと3つのお話のそれぞれの語り手は、野村萬斎さん、当時民藝にいらした岡橋和彦さん、そして、私という組み合わせでした(笑)。

千手の前の舞台は撮影されDVD全集の中に収録されています。

それは、全192章段のうち99章段をDVD化するという壮大なプロジェクトの一環で、各章段ごとに語り手が異なり、中村吉右衛門さんや故島田正吾さん、若村麻由美さん、菊川怜さんなどバラエティーに富んだそうそうたる顔ぶれ62名によって様々な表現で語られています。先だって、そのDVD全集ができあがり、並んでいるだけでも圧巻でした!詳細は下記のリンクをご覧下さい。

その総指揮をとったのが、このサロンを主催され、毎回、平家を分かりやすく熱く解説して下さる橘さん。10年前の橘さんの熱い思いが今でも忘れられません。


原典「平家物語」http://www.hagoromo.com/heike/index.html



2012年4月20日金曜日

見えないツボ 音響

平家の舞台が終わって一週間。いまいち体が休めていないので、思い切って鍼に行きました。体中ばりばり。「あ〜、こりゃひどいねぇ!刺し甲斐があるよ。」ほらここ、ここもね。と言いながら、先生は鍼を刺していきます。ドンピシャ、ずーんと鈍く響く心地よさ。たった2ミリほどの深さです。なぜ、ツボが分かるのかしらんと思いながら、いつのまにか爆睡。からだ中が液状化や〜と思いながらふらりふらりと帰宅すると、黒やぎさん、ならぬ、音響の黒さんから分厚いお手紙が。。。開けてみると先週の舞台公演の録音CDでした。ちょっと聞き始めたら、さっそく永田さんから電話があって、「柔らかないい音で録れていますね」と仰っていました。

いい音。

ってなんでしょう?


今回の舞台では、永田さんの楽器の音を細かくマイクで拾い、私の声もマイクで拾っています。音の響きはそれぞれの劇場によって様々な特性がありますが、今回はどちらかというと響かない劇場です。しゃべりはともかく、楽器にとっては響かないのは結構厳しいものです。低くて大きな波紋音、高くて繊細な波紋音、おりん(仏具)を擦る音。。。
永田さんの奏でる音色の一つ一つを当たり前のように耳で味わえるように、私の語る声や歌声が当たり前のようにお客様の耳にしみこむよう調整するのが、音響さんのお仕事なのです。

ベテラン音響の黒さんも、波紋音は今回が初めて。
まずは、どんな音がするのかと、私と永田さんの稽古を聴きにいらっしゃいました。

永田さんは使用する波紋音のあれこれを叩いて見せて、様々な音を黒さんに聴かせてはいろいろと楽器の特徴を説明します。
「この子は水っぽい音で〜〜、このさゆりちゃんは、純情な音〜〜、このニキビ君は〜〜」

…さゆりちゃん??ニキビ君??

やっぱり永田さんは面白い。

黒さんは「なるほどね」といいながら一通り稽古を聴くと、下からの波紋音の響きはどう聞こえるのか、と永田さんに持ち上げてもらって音を聴いていました。
「はい、分かりました。」
黒さんは患者を診終わったお医者さんのようでした。

その次の稽古の時、ドクター黒さんは床材に注目していました。波紋音は楽器の響きだけでなく床にも響きが伝わります。さらに、ある章段で使っていた波紋音の音が私の声と近い音が含まれていて、かえって、深みや厚みが感じられないと指摘。
なるほど、たしかにその時、やけに自分の声がきつく耳に障るなあと感じたのですが、そのせいか〜〜ドクター黒さん、さすが、すご!

劇場に入る前に、黒さんが「音はこちらがちゃんと調整しますから、気にしないで思い切り演奏してください」と伝えると、永田さんはとても安心したようでした。

音響設備もない小さな会場でやる時などは演奏者や語り手自身が音量を気にして手加減することも多いので、心配せずに演奏し語れるのは何よりです。

そして本番。

永田さんは普段見たこともないくらい、思いっきりのびのびと波紋音を叩いていました。その力強い音が劇場中に響き渡ります。そして繊細な音もしっかりと聴こえて来ます。私はマイクを意識することなく、一人一人の耳に自分の声が届いているのを感じました。今様を歌う時にはすーーっと声が伸びて会場に染み渡るようで、自分の歌声が魔法の力を持っているような錯覚に陥りました。本当に気持ちよかった。

舞台にいる私たちには、なにがどうなって、音が響いているのか分からないのですが、きっと、黒さんは見えないあちこちのツボに微妙な案配で鍼を打って、ここちよい響きを生み出してくれているんだなあ、と。液状化の私は布団にひっくり返ってCDを聴きながら思いました。

2012年4月16日月曜日

照明家という生き物

プレーリードッグか?いいえ、照明作業中です。
照明の横原氏を最初に「捕獲」したのは昨年の9月「平家物語 木曾三話」公演の打合せで松本の劇場を訪れた時のことです。

最初は、普通の朗読会として依頼された(であろう)「平家物語」松本公演。
主催者のKさんから「会場はまつもと市民芸術館小ホールを押さえましたから〜」と電話が来た時に、私の脳内にはビビビーっと電気が走り、石炭エンジン全開、ぷっしゅーっと煙を吐き始めました。ここ数年何度も出させていただいている大好きな素晴らしい芸術館の舞台でやれる!!これは…これは…ただ座って読む朗読ではもったいない!
ずっと実現したいと思っていた「コンテンポラリーな語り芝居・平家」をやろう!

その日から、私は「1,とにかく面白がって、2,少ない予算の中で、3,古典をモダンに料理できる、誰か」を、岩の奥に潜むオオサンショウウオのように、じぃぃっと探し始めました。

そしたら、偶然、目の前にぴらっとトクマスさんが現れました。よし、捕獲。
説明すると「それ、すっごく面白いーっ!!やるーっ!」

二人で舞台のプランを固め、松本の劇場に打合せに行くと、ますます夢は膨らみ
「やっぱり…照明が要るね。どう考えても要るね…。」
いったい誰にお願いすればいいのか〜。

しばらく劇場内の稽古場などに顔を出し、
いよいよ東京に帰るかと、エレベータに乗ろうとしたら、

「あ…!」
「お…!」

エレベータから照明の横原氏が現れたのです。

出た〜〜〜〜〜〜!居た〜〜〜〜〜〜〜!!

2人がかりで、速攻アタック。
この日空いてる?舞台装置の図面これなんだけど!ね?ね?面白そうでしょ?いや、絶対面白いよ。照明当てたくなっちゃうでしょー?(←トクマス)やろうよ〜〜〜!!お金無いけど(←カネコ)。

というわけで、無事横原氏を捕獲完了!

忙しいスケジュールの合間を縫って打合せ。
「古典に全くとらわれずコンテンポラリーな明かりで、遠慮なく、ざくざく空間を作ってほしい」とお願いすると、ふんふんと話を聞いていた横原氏は、あっさり「はい、分かりました。じゃ。」といって忙しく帰って行きました。

通し稽古にも至らない立ち稽古1回を経て、当日仕込みと本番で、ぞくっとするような明かりを作った横原氏。
役者は舞台の上で明かりに助けられることが多々あります。演技に寄り添ってすっと明かりが変わるだけで感情が溢れてくることもあります。まさに物語の空間を作り、役者を存在させてくれる明かりでした。

そして、今回の公演でも、横原氏の活躍はスバらしかったです。

私が、平家全体の流れを…と選んだバラバラなお話が5つ。(こんなに難しいとは思いもよらなかった)。

美術のトクマスさんはうんうんうんうん唸り続けた挙げ句、「在るようで無い、無いようで在る」絶妙な空間を産み出しました。しかし、それは照明なくしては成立しないもの。「あとはよろしく!」と横原氏にどーんと投げて、ひたすら銀パネル制作に没頭。

私は、照明や空間の断片的なイメージは割とはっきりあったものの、肝心の語りをどう立体に組み上げるかプランがなかなか固まりません。自分で選んでおきながら「誰だいったいこんな難しい組み合わせにしたのは!」と稽古場の隅でぶつぶつ。
特に難儀したのは「橋合戦」と「坂落」の戦の違いをどう出すか。

稽古場で、例の見えない照明ビームを目から出しながら、我々を凝視していた横原氏。
思い切って聞いてみると、非常に的確な意見が。
ああ、彼の目にはシーンが見えているんだなあと何度も思ったものでした。

そして、怒濤の仕込みと最初で最後の舞台稽古を経て出てきたものは、
トクマスさんの美術を見事に存在させ、くっきりとそれぞれのシーンを立ち上げた明かり。
照明によって私は平家物語の世界に本当に生かされ、動かされていると感じました。

打ち上げで四者四様に互いの謎解きをするのもまた楽しかったです。宴もたけなわ、次第に酔っ払ってきた頃、どうやって明かりをつくるの?頭ン中どうなってるの?輪切りにして見せてみろなど、ほぼ絡み始めた私たち。すると突然、横原氏は、えへへと笑いながら
「もう…、明かりが、ほんとに大っ好きなんすよ…俺。」

く〜〜〜たまらんね。まったく。

「楽しかった−!またやりましょうね」と去っていった横原氏。
今日もどこかで「大好きな明かり」を当てているでしょうね。

そうそう、横原君、どうしよーかなーと言っていた、例の平家の本。
次回までには買っておいてくださいよ。

(しかし、私も客席から照明見たかったなぁ…。出てると見られないんだもの。)

2012年4月14日土曜日

美術家のこだわり

今回の公演パンフレットには、語り、音楽、美術、照明、四者四様の作品への思いが書かれているのですが、その中に、美術のトクマスさんが「誰にもわからないかもしれない見立て」があるんですよ、とつぶやいておりました。さて、それがなんだかわかった方はいらっしゃるでしょうか?
トクマスさん自身のブログでその答えを書いていますので、まずはそちらをお読みください。
http://to-ku-3.jugem.jp/?eid=33

お読みになりました?
…そうなんですって!

トクマスさんが最初に模型を持って現れた時、むふふと笑いながら、後ろの格子を指差しながら
「アノネー、コレ、地図ナノー、平安京」と言った時、
あまりのお茶目さに吹き出してしまいました。アホや〜この人と思いつつ、お客様は何だか分からないと思うけど、ま、トクマスさんが楽しそうだから、ハイハイどうぞ的な返事をしたような…。
するとその後の照明の横原氏との打ち合わせでもトクマスさんは、模型を見せながら「アノネー…」と説明しはじめました。
それを聞いた横原氏は「あ…ハァ…」と複雑な顔。ほれ見ろ、余りにベタで横原氏ドン引きだよ〜トクマスさ〜ん、と思いきや、横原氏ニヤリと笑って「こういうラインがあると照明当てたくなっちゃうんすよね〜」。
出た…照明家。
何かがあれば明かりを当てたくなるのが、照明家の性なのね。
その後、トクマスさんは、「デショー?ソレ、鴨川。デ、コッチガ西八条〜」などと話し続けている。それを聞いているのかいないのか、ハァとかフムとか言いながら、横原氏は目をパチパチさせて模型を凝視。あぁ、きっと横原氏の目からは見えない照明ビームが出でおり、どう当ててやろうかと企み始めたに違いない…。
模型は本番に至るまで私の家の食卓におかれ、演出や自分の動きを検証するために使わせてもらっていた。
そして、本番が終わり、今私はまんまとトクマスさんの術中にはまったと感じている。
平安京の地図なの〜というトクマスさんの言葉は体の何処かに残り続け、いつしか舞台の上で、私は、平安京を背負って立っていた。

2012年4月13日金曜日

花散る春の宵

昨日から散り始めた桜が降り積もる中
宵闇の空気を胸一杯に吸い込むと
切なさがこみ上げてきて

舞台が終わってしまったんだなぁと
つくづく寂しい。

昨日は一日異界に半分漂っていました。

難しい仕事だけれども
一つの世界を、空間を、造形する
舞台というもののしたたるようなおいしさを
久々に味わったかもしれません。

予想以上の大勢のお客様にご来場いただき
心より御礼申し上げます。初めてご覧下さる方がとても多くて
とても嬉しいです。

今回、「語り×波紋音×美術×照明」という四つ巴の舞台を見ていただきました。
題材は古典だけれども、それをいかに現代に引き寄せるか、コンテンポラリーな平家物語を作りたい。それを感じて下さったお客様も多く、私たちは嬉しいです。

たとえ言葉は分からなくても、なんだか面白かった、と思っていただければ
幸いです。

いろいろなご感想を頂いた中で、
いくつか印象に残ったものは

「古酒と新酒を一度に味わった感じ。」

「始めは難解に聞こえていた原文が次第に分かるようになってきた。」

「現代アートだと思った。」

極めつけは

「金子さん、いやあ、ずいぶんうまく現代語訳してしゃべってたねぇ。原文が聞きたかったなぁ。」

「は、はあ??? いえ、あの〜全部「原文」のままだったんですけど、、、」

「えー!?そうだったの?気がつかなかったなあ!わはは。」

もしかして最大のほめ言葉かもしれません。(笑)



ありがとうございました。

次回新作公演にもぜひお越しください。
また、昨年の「木曾三話」もいろいろな所で再演したいと思っています。

2012年4月10日火曜日

無事

初日の幕が開きました。
当日劇場に乗り込んで仕込み、興行を打つことを、乗り打ち、と言います。
本日、乗り打ち。短い時間の中で、ここぞプロの腕の見せ所と、各分野のスタッフがきっちり仕事をしてくださって、滞りなく幕が開きました。
彼らの仕事振りには本当に惚れ惚れとします。
青臭い言い方かもしれないけど、一つのことに向かって力を出し合うという究極の瞬間芸かもしれませんね、舞台というものは。もちろん、仕事ですから、彼らにとっては当然です。しかし、言い出しっぺとしては、本当に頭が下がります。責任感じます。
そして、当日も含めてたくさんのお客様がいらしてくださいました。よく、集中して、聴いてくださいました。そのパワーは確実に舞台の私達のエネルギーになっています。
さぁ、明日は二回公演。どう進化できるか。頑張ります。
おやすみなさい。



2012年4月8日日曜日

明日、初日

桜の花のパワーをお裾分けして頂き
精のつくものをせっせと食べて
今日は早寝をすべしと思っている金子です。

永田さんは今頃どうしているでしょうか?
明日どうぞよろしく。
どきどきしますね。

さて、昨日まで連載していた各章段のあらすじや見どころはお読み頂けましたでしょうか。調べるといろいろと面白いことがあって書ききれないのですが、後は、明日、劇場で、皆さんと一緒に平家物語の言葉を楽しみたいと思います。

そうそう、今回はそれほど沢山出てきませんが
「やがて」という単語、古典の中ではしょっちゅう出てきます。

これ、どれくらい時が経つ意味だと思いますか?
なんとなく、少し時間が経ってからという感じで日頃使ってませんか?

しかし、古語辞典を引くと「間もなく、続けてそのまま」と出ています。
その意味を知って古典の文章を読むと、状況が正確に分かります。

今回は二位尼が入水する時に、「やがて」と出てくるのですが、
そこは、のんびりと入水するのではなく、安徳天皇をなぐさめたら、すぐにそのまま海に飛び込むということなんです。
このことがわかると心情が一層伝わってきます。

おまけでした。


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「平家物語」
【出演】語り・金子あい/波紋音・永田砂知子
【演目】祇園精舎 ・祇王 ・橋合戦・坂落 ・先帝身投
【日時】4月9日(月)19時 /10日(火)14時 、19時
【会場】座・高円寺2 (JR中央線高円寺駅北口より徒歩5分) 杉並区高円寺北2-1-2 tel.03-3223-7500 http://za-koenji.jp/guide/index.html#link2
【チケット料金】前売3,500円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
【チケット予約・お問合せ】平家物語実行委員会 090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp