東日本大震災一周年の3月11日。
この一年を思うと、なんと言っていいのか言葉が見つかりません。
追悼式で岩手、宮城、福島の遺族代表が言葉を述べられました。
大切な家族を亡くされた悲しみが痛いほどに伝わり胸が締め付けられました。
犠牲者のご冥福と遺族の皆様の悲しみが癒されることを心からお祈り申し上げます。
その中で、宮城県の奥田さんの言葉が耳に残りました。
「…見渡す限りの惨状に地獄はここだと思いました。」
どこかで聞いたことがある……
なんだろうと考えてみると、
平家物語に同じような言葉が出てくるのです。
正確に言えば「地獄」という言葉が使われているわけではないのですが、
厳しい運命に翻弄されながら戦の場面が重なっていく後半などは、
まるで地獄のようだと描写している場面が少なくないのです。
何万騎もの武者達が折り重なり折り重なり倒れ伏している光景は
語っていても背筋が寒くなるほど恐ろしいものがあります。
人間の力強さも小ささもすべて描く平家物語。
歴史をくり返しながら私たちは先祖からの命をつないできたのだ
とあらためて気づかされます。
そして、その地獄は又、為政者の我執によるものだということも平家物語は描いています。
いま、この時代に平家物語を上演することは、
そうしたことをあらためて浮き彫りにするということなのかもしれません。
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