2012年9月27日木曜日

雨降る多古町 特別講座

あの暑さがウソのように、すっかり涼しくなりました。

先日の日曜日。
千葉県の多古町に「平家物語」日本寺公演の前宣伝もかねて、永田さんと2人で特別講座に行って参りました。

多古町は成田空港から車で20分ほどのところにある豊かな自然と歴史に彩られた昔の面影を残す町で、早場米が有名です。多古町へ行くには、東京駅から成田空港行きの高速バスに乗っていくのが快適で便利です。道も空いていると1時間弱で第2ターミナルに到着します。その先は路線バスかタクシーですが、この日はお迎えに来て頂きました。

4階でバスを降りて、ターミナルを1階まで降りて、ガラガラとスーツケースを持って歩くと、まるで海外旅行に行くような不思議な気分。

講座の会場となった多古町コミュニティプラザのロビーは広々と明るく、音が良く響くスペースでした。開催時刻が近づくにつれ、何人くらい来て下さるだろうか…とだんだん心配になってきました。もちろん、お客様が何人でも一生懸命やることには変わりありませんが、この日はなんと言っても、10/20の日本寺公演の宣伝をかねていますので、出来る限り沢山の方に私たち2人を知ってもらいたいと思っていました。外の天気が気が気ではありません…雨の降る日曜日の午後…出掛けるのがおっくうになりそうな雨が朝からずっと降り続いていました。

開場の時刻にぽつぽつと、数組のお客様が見え始めたところで、私はロビーの隅っこのグランドピアノの陰に座って資料に目を通しはじめました。前日のレクチャーでちょっと曖昧なところがあったので確認しようとおもいました。時間になったので、立ち上がって見るとロビーな大変賑やかで、なんと50名もの方々がお見えになっているではありませんか。

すっかり嬉しくなって、張り切って話しはじめたのはいいのですが、あれもこれもとあらすじの解説が止まらなくなり、気づけば、隣で永田さんが冬眠しそうになってました(お客様はよく辛抱して下さいました〜(笑))いかんいかん、直前まで資料を読みふけっているとこういうことになってしまう!とあわてて永田さんに丸投げして波紋音体験コーナーがスタート。波紋音がぽろぽろと鳴り響くと、たちまちに静謐な空間に変わるから不思議です。お客様1人ずつに波紋音を持っていただき演奏すると、人によって音色が変わるという面白い体験もありました。
心が吸い寄せられるような波紋音の音に思わず手を合わせてしまう方も…永田さんは「拝まなくていいですよ〜、べつに御利益はありませんから〜〜(笑)」。でも、拝みたくなる気持ちが分かりますね。なんて言うのかなあ、ささくれ立っていた心の肌理が整うというか…癒されるというか、ふわっとするんですよね波紋音の音って。

それから、壇ノ浦の一部分を皆さんに一緒に声を出して読んで頂きました。ちょっと残り時間が気になって駆け足に進めてしまったので、ゆっくり体験できなかったかもしれません、ごめんなさい。詩吟や読み聞かせなど声を出すのに慣れている方がいらっしゃったそうで、驚くほど大きな声で皆さん迫力があって、とても素晴らしかったです!

最後に2人で祇王のさわりを少し語って講座はお開きとなりました。90分盛り沢山におつきあい頂きありがとうございました。

今回の講座で、少しでも私たち2人や平家や波紋音に興味を持っていただけたら幸いです。どうぞみなさま、お誘い合わせの上、ぜひ日本寺平家物語公演にお越しくださいませ。

そして、関係者の皆さんが日本寺をとても大切にされていて、この公演の成功のためにご尽力くださっていることがとても良く分かりました。この平家物語を多くの方に楽しんで頂くとともに、これをきっかけに日本寺という素晴らしい空間を訪れてほしいと思います。日本寺の面白さはまた改めて書きます。




日本寺「平家物語」公演


出演:語り 金子あい、波紋音 永田砂知子
演目:「足摺」「千手前」「壇浦合戦」

2012年10月20日(土)14時/18時開演(開場は30分前)

会場:日本寺(にちほんじ) 本堂
   千葉県香取郡多古町南中1820−1
入場料:1000円/高校生以下500円
お問合せ・ご予約:日本寺 TEL:0479−76−3745
主催:多古日本寺コンサート実行委員会



成田空港から車で20分に位置する中村檀林旧跡 正東山日本寺は、歴史上有名な檀林(僧侶の学問所)のあった日蓮宗の古刹で、元応元年(1319)開基。大きな森と時代の流れの中にひっそりとたたずむ山門や鐘楼。本堂は二階建で、檀林の講義の様子を思わせる他の寺院では余り見られない珍しい建物です。

山門をくぐり杉林に囲まれた参道を進む
おおらかで由緒ある古いお寺で
時空を超えて
700年前の平家物語の世界をお楽しみ下さい。


アクセスやお寺の詳しい紹介、また成田空港からの送迎バス付きツアー企画などもありますので下記をご覧下さい。

日本寺平家物語公演ページ
http://nichihonji.org/Live/event/heikemonogatari/index.html

日本寺ホームページ
http://nichihonji.org/









2012年9月18日火曜日

きっかけはウルウル。


ある日のこと。
サロン朗読会で平家の語りと簡単なワークショップををやった時、25名ほどのお客様の中に、とってもきれいな妙齢の女性が目をウルウルと輝かせて私を見ておりました。
…何を隠そう、中高時代はチョコをもらったこともある私(笑)。まさか?いや、しかし、この年になってそれは。。。う〜〜〜む。なぜ、そんなに熱い視線で…と一人照れ照れしながらワークショップを終えると、その女性、つかつかと私のところへやってきて、「面白い!!こんなに面白い平家を私は求めていたんです!ぜひ、講座をやりませんか!」

ということで、ウレシハズカシ、東急セミナーBe青葉台校で10月開講と相成ったわけです。現在、吉祥寺で2クラス「平家物語 朗読教室」をやっていますが、もっと沢山の方にやってみていただきたいなぁと思っていた矢先でしたので、本当に嬉しいことです。

で、この「平家物語」の語りの面白さ、とはなんなのかということなのですが…そうですね…ひと言で言えば、「呪文のようにちんぷんかんぷんだった原文が、まるで映画を見ているように活き活きとしたドラマに立ち上がってくる、自分の想像力がどんどん働き始める「想像」と「創造」の面白さ」だと思っています(すみません、ひと言じゃなかった…)。

今の時代、平家を読むことはとても興味深いです。

百聞は一見にしかず、ということで、まずは私の「語り」とレクチャーを聴いていただこうという企画です!そして、なんと!私の平家の舞台で相方をつとめて下さっている打楽器奏者永田砂知子さんが鉄の創作打楽器「波紋音(はもん)」を特別に演奏して下さいます。素晴らしい音です。

夕方の半端な時間ですが、夕飯前のひととき、お気軽にお立ち寄り下さい。
------
9月22日(土)17〜18時 受講料 2000円。入会金不要。
東急セミナーBe青葉台校501教室(東急田園都市線 青葉台駅直結)

※16日締切となっていますが、当日まで申込み受付可となりました。

詳細お申込はこちら↓
http://www.tokyu-be.jp/seminar/2012070003XA02101.html 

2012年6月5日火曜日

6月の平家物語サロンに出演します


お知らせが間際になってしまいましたが、来週、神田で行われる「平家物語サロン」に出演します。小さな会ですが、毎回、お茶とお菓子を召し上がって頂きながら、豪華出演者のDVDを観て、生の朗読を聴き、とっても分かりやすい解説もあり、今回はさらに私の朗読ワークショップまでついてくるという、とってもお得な会です。
よろしければ是非ご参加下さい♪

【日時】2012年6月14日(木)
  1部 15:00〜16:30/2部 19:00〜20:30
  ※受付は30分前から
【参加費】2,000円 お茶・お菓子付き

【プログラム】
1,よく分かる!平家物語解説トーク 橘 幸治郎
2,DVD上映
  「重衡生捕」(映像出演:片岡愛之助)
  「海道下」(映像出演:今藤長十郎、杵屋直吉 他)
3,朗読のワークショップ「鶏合 壇浦合戦」金子あい
4,朗読 「千手の前」語り手:金子あい

お申込・問合せは
NPO法人 原典「平家物語」を聴く会 事務局
TEL.0120-94-1044・03-6673-3863
info@heikemonogatari.jp




私の平家物語との出会いは、こちらの会からお声をかけていただき、10年ほど前に舞台で「千手の前」の語ったのが始まりです。なんと3つのお話のそれぞれの語り手は、野村萬斎さん、当時民藝にいらした岡橋和彦さん、そして、私という組み合わせでした(笑)。

千手の前の舞台は撮影されDVD全集の中に収録されています。

それは、全192章段のうち99章段をDVD化するという壮大なプロジェクトの一環で、各章段ごとに語り手が異なり、中村吉右衛門さんや故島田正吾さん、若村麻由美さん、菊川怜さんなどバラエティーに富んだそうそうたる顔ぶれ62名によって様々な表現で語られています。先だって、そのDVD全集ができあがり、並んでいるだけでも圧巻でした!詳細は下記のリンクをご覧下さい。

その総指揮をとったのが、このサロンを主催され、毎回、平家を分かりやすく熱く解説して下さる橘さん。10年前の橘さんの熱い思いが今でも忘れられません。


原典「平家物語」http://www.hagoromo.com/heike/index.html



2012年4月20日金曜日

見えないツボ 音響

平家の舞台が終わって一週間。いまいち体が休めていないので、思い切って鍼に行きました。体中ばりばり。「あ〜、こりゃひどいねぇ!刺し甲斐があるよ。」ほらここ、ここもね。と言いながら、先生は鍼を刺していきます。ドンピシャ、ずーんと鈍く響く心地よさ。たった2ミリほどの深さです。なぜ、ツボが分かるのかしらんと思いながら、いつのまにか爆睡。からだ中が液状化や〜と思いながらふらりふらりと帰宅すると、黒やぎさん、ならぬ、音響の黒さんから分厚いお手紙が。。。開けてみると先週の舞台公演の録音CDでした。ちょっと聞き始めたら、さっそく永田さんから電話があって、「柔らかないい音で録れていますね」と仰っていました。

いい音。

ってなんでしょう?


今回の舞台では、永田さんの楽器の音を細かくマイクで拾い、私の声もマイクで拾っています。音の響きはそれぞれの劇場によって様々な特性がありますが、今回はどちらかというと響かない劇場です。しゃべりはともかく、楽器にとっては響かないのは結構厳しいものです。低くて大きな波紋音、高くて繊細な波紋音、おりん(仏具)を擦る音。。。
永田さんの奏でる音色の一つ一つを当たり前のように耳で味わえるように、私の語る声や歌声が当たり前のようにお客様の耳にしみこむよう調整するのが、音響さんのお仕事なのです。

ベテラン音響の黒さんも、波紋音は今回が初めて。
まずは、どんな音がするのかと、私と永田さんの稽古を聴きにいらっしゃいました。

永田さんは使用する波紋音のあれこれを叩いて見せて、様々な音を黒さんに聴かせてはいろいろと楽器の特徴を説明します。
「この子は水っぽい音で〜〜、このさゆりちゃんは、純情な音〜〜、このニキビ君は〜〜」

…さゆりちゃん??ニキビ君??

やっぱり永田さんは面白い。

黒さんは「なるほどね」といいながら一通り稽古を聴くと、下からの波紋音の響きはどう聞こえるのか、と永田さんに持ち上げてもらって音を聴いていました。
「はい、分かりました。」
黒さんは患者を診終わったお医者さんのようでした。

その次の稽古の時、ドクター黒さんは床材に注目していました。波紋音は楽器の響きだけでなく床にも響きが伝わります。さらに、ある章段で使っていた波紋音の音が私の声と近い音が含まれていて、かえって、深みや厚みが感じられないと指摘。
なるほど、たしかにその時、やけに自分の声がきつく耳に障るなあと感じたのですが、そのせいか〜〜ドクター黒さん、さすが、すご!

劇場に入る前に、黒さんが「音はこちらがちゃんと調整しますから、気にしないで思い切り演奏してください」と伝えると、永田さんはとても安心したようでした。

音響設備もない小さな会場でやる時などは演奏者や語り手自身が音量を気にして手加減することも多いので、心配せずに演奏し語れるのは何よりです。

そして本番。

永田さんは普段見たこともないくらい、思いっきりのびのびと波紋音を叩いていました。その力強い音が劇場中に響き渡ります。そして繊細な音もしっかりと聴こえて来ます。私はマイクを意識することなく、一人一人の耳に自分の声が届いているのを感じました。今様を歌う時にはすーーっと声が伸びて会場に染み渡るようで、自分の歌声が魔法の力を持っているような錯覚に陥りました。本当に気持ちよかった。

舞台にいる私たちには、なにがどうなって、音が響いているのか分からないのですが、きっと、黒さんは見えないあちこちのツボに微妙な案配で鍼を打って、ここちよい響きを生み出してくれているんだなあ、と。液状化の私は布団にひっくり返ってCDを聴きながら思いました。

2012年4月16日月曜日

照明家という生き物

プレーリードッグか?いいえ、照明作業中です。
照明の横原氏を最初に「捕獲」したのは昨年の9月「平家物語 木曾三話」公演の打合せで松本の劇場を訪れた時のことです。

最初は、普通の朗読会として依頼された(であろう)「平家物語」松本公演。
主催者のKさんから「会場はまつもと市民芸術館小ホールを押さえましたから〜」と電話が来た時に、私の脳内にはビビビーっと電気が走り、石炭エンジン全開、ぷっしゅーっと煙を吐き始めました。ここ数年何度も出させていただいている大好きな素晴らしい芸術館の舞台でやれる!!これは…これは…ただ座って読む朗読ではもったいない!
ずっと実現したいと思っていた「コンテンポラリーな語り芝居・平家」をやろう!

その日から、私は「1,とにかく面白がって、2,少ない予算の中で、3,古典をモダンに料理できる、誰か」を、岩の奥に潜むオオサンショウウオのように、じぃぃっと探し始めました。

そしたら、偶然、目の前にぴらっとトクマスさんが現れました。よし、捕獲。
説明すると「それ、すっごく面白いーっ!!やるーっ!」

二人で舞台のプランを固め、松本の劇場に打合せに行くと、ますます夢は膨らみ
「やっぱり…照明が要るね。どう考えても要るね…。」
いったい誰にお願いすればいいのか〜。

しばらく劇場内の稽古場などに顔を出し、
いよいよ東京に帰るかと、エレベータに乗ろうとしたら、

「あ…!」
「お…!」

エレベータから照明の横原氏が現れたのです。

出た〜〜〜〜〜〜!居た〜〜〜〜〜〜〜!!

2人がかりで、速攻アタック。
この日空いてる?舞台装置の図面これなんだけど!ね?ね?面白そうでしょ?いや、絶対面白いよ。照明当てたくなっちゃうでしょー?(←トクマス)やろうよ〜〜〜!!お金無いけど(←カネコ)。

というわけで、無事横原氏を捕獲完了!

忙しいスケジュールの合間を縫って打合せ。
「古典に全くとらわれずコンテンポラリーな明かりで、遠慮なく、ざくざく空間を作ってほしい」とお願いすると、ふんふんと話を聞いていた横原氏は、あっさり「はい、分かりました。じゃ。」といって忙しく帰って行きました。

通し稽古にも至らない立ち稽古1回を経て、当日仕込みと本番で、ぞくっとするような明かりを作った横原氏。
役者は舞台の上で明かりに助けられることが多々あります。演技に寄り添ってすっと明かりが変わるだけで感情が溢れてくることもあります。まさに物語の空間を作り、役者を存在させてくれる明かりでした。

そして、今回の公演でも、横原氏の活躍はスバらしかったです。

私が、平家全体の流れを…と選んだバラバラなお話が5つ。(こんなに難しいとは思いもよらなかった)。

美術のトクマスさんはうんうんうんうん唸り続けた挙げ句、「在るようで無い、無いようで在る」絶妙な空間を産み出しました。しかし、それは照明なくしては成立しないもの。「あとはよろしく!」と横原氏にどーんと投げて、ひたすら銀パネル制作に没頭。

私は、照明や空間の断片的なイメージは割とはっきりあったものの、肝心の語りをどう立体に組み上げるかプランがなかなか固まりません。自分で選んでおきながら「誰だいったいこんな難しい組み合わせにしたのは!」と稽古場の隅でぶつぶつ。
特に難儀したのは「橋合戦」と「坂落」の戦の違いをどう出すか。

稽古場で、例の見えない照明ビームを目から出しながら、我々を凝視していた横原氏。
思い切って聞いてみると、非常に的確な意見が。
ああ、彼の目にはシーンが見えているんだなあと何度も思ったものでした。

そして、怒濤の仕込みと最初で最後の舞台稽古を経て出てきたものは、
トクマスさんの美術を見事に存在させ、くっきりとそれぞれのシーンを立ち上げた明かり。
照明によって私は平家物語の世界に本当に生かされ、動かされていると感じました。

打ち上げで四者四様に互いの謎解きをするのもまた楽しかったです。宴もたけなわ、次第に酔っ払ってきた頃、どうやって明かりをつくるの?頭ン中どうなってるの?輪切りにして見せてみろなど、ほぼ絡み始めた私たち。すると突然、横原氏は、えへへと笑いながら
「もう…、明かりが、ほんとに大っ好きなんすよ…俺。」

く〜〜〜たまらんね。まったく。

「楽しかった−!またやりましょうね」と去っていった横原氏。
今日もどこかで「大好きな明かり」を当てているでしょうね。

そうそう、横原君、どうしよーかなーと言っていた、例の平家の本。
次回までには買っておいてくださいよ。

(しかし、私も客席から照明見たかったなぁ…。出てると見られないんだもの。)

2012年4月14日土曜日

美術家のこだわり

今回の公演パンフレットには、語り、音楽、美術、照明、四者四様の作品への思いが書かれているのですが、その中に、美術のトクマスさんが「誰にもわからないかもしれない見立て」があるんですよ、とつぶやいておりました。さて、それがなんだかわかった方はいらっしゃるでしょうか?
トクマスさん自身のブログでその答えを書いていますので、まずはそちらをお読みください。
http://to-ku-3.jugem.jp/?eid=33

お読みになりました?
…そうなんですって!

トクマスさんが最初に模型を持って現れた時、むふふと笑いながら、後ろの格子を指差しながら
「アノネー、コレ、地図ナノー、平安京」と言った時、
あまりのお茶目さに吹き出してしまいました。アホや〜この人と思いつつ、お客様は何だか分からないと思うけど、ま、トクマスさんが楽しそうだから、ハイハイどうぞ的な返事をしたような…。
するとその後の照明の横原氏との打ち合わせでもトクマスさんは、模型を見せながら「アノネー…」と説明しはじめました。
それを聞いた横原氏は「あ…ハァ…」と複雑な顔。ほれ見ろ、余りにベタで横原氏ドン引きだよ〜トクマスさ〜ん、と思いきや、横原氏ニヤリと笑って「こういうラインがあると照明当てたくなっちゃうんすよね〜」。
出た…照明家。
何かがあれば明かりを当てたくなるのが、照明家の性なのね。
その後、トクマスさんは、「デショー?ソレ、鴨川。デ、コッチガ西八条〜」などと話し続けている。それを聞いているのかいないのか、ハァとかフムとか言いながら、横原氏は目をパチパチさせて模型を凝視。あぁ、きっと横原氏の目からは見えない照明ビームが出でおり、どう当ててやろうかと企み始めたに違いない…。
模型は本番に至るまで私の家の食卓におかれ、演出や自分の動きを検証するために使わせてもらっていた。
そして、本番が終わり、今私はまんまとトクマスさんの術中にはまったと感じている。
平安京の地図なの〜というトクマスさんの言葉は体の何処かに残り続け、いつしか舞台の上で、私は、平安京を背負って立っていた。

2012年4月13日金曜日

花散る春の宵

昨日から散り始めた桜が降り積もる中
宵闇の空気を胸一杯に吸い込むと
切なさがこみ上げてきて

舞台が終わってしまったんだなぁと
つくづく寂しい。

昨日は一日異界に半分漂っていました。

難しい仕事だけれども
一つの世界を、空間を、造形する
舞台というもののしたたるようなおいしさを
久々に味わったかもしれません。

予想以上の大勢のお客様にご来場いただき
心より御礼申し上げます。初めてご覧下さる方がとても多くて
とても嬉しいです。

今回、「語り×波紋音×美術×照明」という四つ巴の舞台を見ていただきました。
題材は古典だけれども、それをいかに現代に引き寄せるか、コンテンポラリーな平家物語を作りたい。それを感じて下さったお客様も多く、私たちは嬉しいです。

たとえ言葉は分からなくても、なんだか面白かった、と思っていただければ
幸いです。

いろいろなご感想を頂いた中で、
いくつか印象に残ったものは

「古酒と新酒を一度に味わった感じ。」

「始めは難解に聞こえていた原文が次第に分かるようになってきた。」

「現代アートだと思った。」

極めつけは

「金子さん、いやあ、ずいぶんうまく現代語訳してしゃべってたねぇ。原文が聞きたかったなぁ。」

「は、はあ??? いえ、あの〜全部「原文」のままだったんですけど、、、」

「えー!?そうだったの?気がつかなかったなあ!わはは。」

もしかして最大のほめ言葉かもしれません。(笑)



ありがとうございました。

次回新作公演にもぜひお越しください。
また、昨年の「木曾三話」もいろいろな所で再演したいと思っています。