2012年12月2日日曜日

政治家の我欲がこの世をだめにする──「祇園精舎」

いよいよ、今週木曜日に近づいてきました「平家物語」。

今日からあらすじと見どころを掲載していきます。

ぜひお読みになってから劇場にお越しください。


「祇園精舎」

平家物語はこの祇園精舎に始まり、祇園精舎に終わる…といってもいいかもしれません。

前回の公演をご覧になったある方が、「金子さんの祇園精舎は…あれだね、あの〜、無常感ていうの?そういうのがないね…」と遠慮がちに感想を述べられていました。

「そりゃ、そうでしょう、だってわたし、永●町と霞●関に向かって言ってますもの!」
と鼻息荒く私。

では、現代語訳を見てみましょう。

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祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きをたてる。釈迦入滅のときに白く変じたという娑羅双樹の花の色は、盛者必衰の道理を表している。ただ春の夜の夢のように儚いものである。勇猛な者もついには滅びてしまう。全く風の前の塵と同じである。驕り高ぶった人も、末永くは続かない。外国の例を探してみると、秦の趙高や唐の安禄山など、これらはみな旧主先皇の政治にも従わず、楽しみを極め、人の諫言も聞き入れることもなく、天下の乱れることを悟らずして、民衆の嘆き憂いを顧みなかったので、末永く栄華を続けること無しに滅びてしまった者どもである。近く我が国にその例を探してみると、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼、これらは皆驕れる心も猛悪なこともそれぞれに甚だしかったが間もなく滅びてしまった。ごく最近では六波羅の入道、前太政大臣平朝臣清盛公と申した人の驕り高ぶり横暴な有様は言葉で言い表せないほどである。

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「平家物語」では末法の世に世界が地獄と化していく有様が描かれています。あらゆる人がその運命に巻き込まれることを免れない。源氏物語では、地獄というのは個人の内面の事件であったけれども、平家物語においては地獄は社会的事件となっています。仏教において、人間の苦悩は欲望が原因でした。平家物語において世界を包んだ大地獄の原因は何であったか。それは清盛の並外れた「煩悩」が、「我執」が原因だったとこの作者は言っています。(梅原猛「地獄の思想」より)

毎日の新聞、ニュースを見ると、私はいつもこのことを思い出すのです。だからこそ、平家物語が昔話に思えないのです。

授業で学んだ「祇園精舎」を、劇場でもう一度じっくり聴いてみて下さい。

そして、今回は清盛の最期の章段もやります。併せて聴いていただくことで何かが見えてくるかも知れません。


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これはもう語りではない、古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台
「平家物語 語りと波紋音」第3回公演
祇園精舎 足摺 千手の前 入道死去
語り:金子あい 波紋音:永田砂知子

構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 
音響:黒沢靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 主催:平家物語実行委員会 


【日時】2012年12月6日(木)昼の部14:00開演/夜の部19:00開演(上演時間75分)
【会場】座・高円寺2 http://za-koenji.jp JR中央線 高円寺駅 北口 徒歩5分

【チケット料金】 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
  ※当日券は開演1時間前より販売。高校生以下割引は平家物語実行委員会のみで取扱。
  ※未就学児のご入場はご遠慮下さい。※開場は開演の30分前。

【チケット取扱・お問合せ】
 平家物語実行委員会:090-6707-1253 heike@parkcity.ne.jp

 ちけっとぽーと:03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
 渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)
 東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)
 横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)






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