2013年10月20日日曜日

死者4500人以上の大惨事「奈良炎上」

安野光雅「繪本 平家物語」講談社
大好きな安野光雅さんが描いた「繪本 平家物語」はとても美しく大好きな本です。
その表紙が「奈良炎上」で、私は見入ってしまいました。

平家物語の中でも清盛の悪行として特筆すべきものの一つに、
奈良の都を焼き払ってしまった「奈良炎上」があります。
淡々と描かれる東大寺、興福寺の焼滅。
私達の想像を超えた「喪失」だったと思います。

この章段は今回の公演の中でも一番難しく、また見せ場でもあります。

あらすじをみてみましょう。。。

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1180年(治承4年)12月

 以仁王の乱に加わった興福寺を追討するとの噂がたち、怒った僧兵たちは蜂起した。

(摂政の説得にも耳を貸さず、朝廷からの使者に対し「乗り物からひきずりおろせ。もとどり(束ねた頭髪)を切れ」と騒いだ。使者らはほうほうのていで逃げ帰った。また大きな球丁(毬打=ぎっちょう、杖で鞠を打つ遊戯)の球を作り、これを清盛に見立てて踏んだり蹴ったりして気勢を上げている。)

さらに僧兵たちは、事態を沈静化するために非武装で向かった使者、瀬尾太郎兼康の軍勢六十余人を捕まえて、その首を猿沢の池(興福寺の南、旧南大門前の池)の端に並べてさらした。
 激怒した清盛は12月8日、大将軍に重衡を命じ、四万余騎の大軍を南都へ向けた。僧兵たちも老若の区別無く七千余人が甲をかぶり、般若寺と奈良坂に堀を築いてよく戦ったが、馬で駆ける平家の敵ではなかった。ついに夜戦となり、重衡は明かりをとるために民家に火をつけさせた。すると折からの強風にあおられて瞬く間に燃え上がり、奈良の有力寺院は一面火の海と化した。
 老僧や学問僧、女性、子供たちは東大寺大仏殿の二階や興福寺に逃げ込んだが、大仏殿は敵が続くのを恐れてはしごを外したため、千あまりの人々は逃げるすべがないまま猛火が押し寄せた。わめき叫ぶ声は、焦熱、大焦熱、無間地獄の炎の下の罪人の声もこれ以上ではあるまいと思われた。
 藤原氏代々の氏寺である興福寺にあった仏法最初の釈迦の像、自然に現れた観世音、瑠璃を並べた四面の回廊、朱丹を交えた二階建ての楼、九輪が輝いていた二基の塔などがたちまち煙となってしまった。
 東大寺には聖武天皇が磨き立てた金銅造り高さ十六丈の盧遮那仏があった。その満月のような尊い姿も、頭は焼け落ちて地上にあり、身体は溶けて山のようだ。
 八万四千の相があるという仏の容貌は、秋の月が早く五重の雲に隠れるように隠れ、四十一地の仏の装飾品は、夜の空がむなしく十悪の風に漂うように輝きをなくした。煙は天に満ち、炎は虚空に隙間もない。目の当たりにする者は眼を向けられず、遠く伝え聞く人は茫然自失した。
 法相三論の経典は一巻も残らなかった。我が国は言うまでもなく、印度、支那にもこれほどの仏法の滅亡があろうとは思えない。
 焼死した人は三千五百余人、戦死した僧は千人にも及んだ。
 翌日凱旋した重衡を喜んで迎えたのは清盛だけだった。後白河法皇以下、「たとえ悪僧を滅すとしても、寺院を破滅するべきであろうか」と嘆くばかりだった。
 僧兵の首は、当初は大通りを引き回して獄門の木にかける予定だったが、南都が焼失した驚愕に何の指示もない。あちこちの溝や堀に捨て置かれた。
 ひどかった年も暮れ、治承も五年になった。
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この章段を読むことになって、テレビのニュースで悲惨な事故を報じていると、もしあの時代にテレビがあったら、間違いなく中継のヘリが飛び、リポーターが声をからして伝えるだろうと思いました。東日本大震災の惨状も思い起こさずには射られません。淡々としているからこそのおそろしさが伝わるといいなあと思っています。



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古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台!
語り:金子あい × 波紋音:永田砂知子
「平家物語」第4回公演

【日時】10月22日(火) 19時開演
    10月23日(水)14時開演 / 19時開演 ※開場は開演の30分前
【上演演目】祇園精舎、鵼、奈良炎上、維盛都落、能登殿最期 (上演時間80分)

【出演】語り・金子あい、波紋音・永田砂知子

【会場】座・高円寺2 
杉並区高円寺北2-1-2 TEL: 03-3223-7500 http://za-koenji.jp/ JR中央線高円寺駅北口 徒歩5分

【料金】大人 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)
※当日券は開演1時間前より販売。※高校生以下割引はアートユニットアイプラスのみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。 

【チケット取扱】
■art unit ai+(アートユニットアイプラス )TEL: 090-6707-1253 E-mail:auaplus@gmail.com
■イープラス http://eplus.jp/(PC・携帯)
■ちけっとぽーと TEL: 03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)

【お問合せ】
■art unit ai+(アートユニットアイプラス )TEL: 090-6707-1253 E-mail:auaplus@gmail.com

【スタッフ】
構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 音響:黒澤靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 宣伝美術:aikaneko 協力:永田倶楽部 後援:杉並区 企画・制作: art unit ai+(アートユニットアイプラス)

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