2013年10月20日日曜日

「鵺」の鳴く夜は恐ろしい?!


鵺(歌川国芳 画、江戸時代)
なかなか更新できなくてすみません〜。
ブログ書くのも結構時間がかかるものですから、それより先に、作品づくりでしょっ!とみんなからも無言のプレッシャー!!やっとめどが立ちましたので、今回の公演で上演する章段のあらすじを順にご紹介していきますっ!軽〜くご鑑賞の参考になれば。

深い考察は既にいろいろな方がなさっていらっしゃるのでそちらに譲るとして、公演直前のざっくりしたあらすじ解説です。ご了承くださいませ。


まずは「鵼」です。


八重の桜で鵺という言葉が出てきたそうで、一般の方にも最近少し有名になった「鵺」。能をご覧になる方は「鵺」はもうよくご存じですよね。

「平家物語」に登場する頼政はものすご〜くおおざっぱに言うと、長年一生懸命仕事をしてきたのに、なかなか思うように出世もせず、でも最後はしっかり従三位になり、執念深くて世渡り上手なところもあり、しかし一番の手柄が化け物退治というおじさんです。柱の陰から出世をうらやましがる様な歌を作ってみたり、化け物退治で褒められれば、いやぁ、それほどでも〜と謙遜してみたり。息子の馬を宗盛が欲しがってひどい仕打ちをしたことにものすごく怒り、やっと老後も安心という時に高倉宮をそそのかして謀反を起こしたりして。源氏でありながら平家方で働き、武人であり歌人でもあるこの人はいったいなんなのか。私はとても気になります。はい。もちろんわたくしがこの頼政さんになって語ります〜。

あらすじを見てみましょう


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 源頼政は長く大内守護だったが、昇殿は許されず、年老いてから述懐の和歌「人知れず大内山のやまもりは木がくれてのみ月をみるかな(大内山の番人が木陰に隠れて人知れず物陰から月を見るように、大内守護の私は人知れず物陰から帝を拝することだ)」を詠み、それによってようやく昇殿が許された。
 なおも昇進を心にかけ、詠んだ歌「のぼるべきたよりなき身は木のもとに椎(四位)を拾ひて世をわたるかな(木の上に上るべき便宜の無い我が身は、やむを得ず木の下に落ちこぼれた椎の実を拾って〈やっと四位になって〉世を過ごすことだ)」により三位に叙された。
 仁平のころ、東三条の森から夜な夜な黒い雲がわきだして、御殿の上を覆い、近衛天皇が怯えた。かつて堀河天皇に同様の発作があり、その病魔を退散させたのが源義家だったことから、その先例に従って武士に命じるべきとして、源頼政が選ばれた。
 頼政は頼りにしている郎等、井早太のみを連れ、矢を2本持って参内。もし1本目の矢で射損ねた場合は、もう一本の矢で自分を推薦した忌々しい左小弁の雅頼卿(←名前が紛らわしい!)の首の骨を射ようというつもりだった。午前2時頃になると東三条の森の方から黒雲が一群やってきて、御殿の上にたなびいた。頼政がきっと見上げると雲の中に怪しい物の姿がある。「南無八幡大菩薩」と心の中で祈りながら弓矢を射ると、手応えがある。落ちてきたのは「頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、鳴く声は鵺(とらつぐみ)」に似ていた。天皇は感心のあまり獅子王という剣を下された。取り次ぐことになった宇治の左大臣が、ホトトギスの鳴き声を聞きながら「ホトトギスが名をも雲間にあげるように、そなたも武名を宮中にあげたことだなあ」と言うと、頼政は月を横目に見ながら「弓を射るのに任せて、まぐれで射当てました」と詠み、御剣を受け取って退出した。「弓矢を取って並ぶ者がないだけでなく、歌道も優れていた」と君も臣も感心した。
 さらに応保のころ、鵺という怪鳥が鳴いて二条天皇を悩ますことがあり、頼政が召された。闇の中でたった一声鳴いた鵺の声の方に、頼政は大鏑の矢を射上げた。鵺はその音に驚いて「ひひ」と声を上げた。頼政は二の矢で射抜いた。宮中はどよめき、帝の感心もなみなみならず、御衣を与えた。取り次ぎの右大臣公能公が頼政の肩にかけようとして「五月闇の真っ暗な中、今夜武名を現したことだな」と言いかけたところ、頼政は「誰とも分からないたそがれ時も過ぎたと思うのに、そんな時に名を現したことですよ」と詠み、退出した。
 その後、伊豆の国を頂戴し、子息仲綱を国司にし、我が身は三位になって、丹波の五ヶ庄、若狭の東宮河を所領としてそのまま過ごすはずだったが、無益な謀反を起こして高倉宮(以仁王)も失い、自分自身も滅びたのは情けないことだった。
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なんだかどこかとぼけていますよねえ。どの歌も。冴えてるんだか冴えてないんだか。


鵺はトラツグミの声に似た大変に気味の悪い声で鳴き、凶鳥とされていたそうですが、永田さんとトラツグミの声をYouTubeで聴いたら、結構可愛い声だったので拍子抜けしてしまいましたが、昔の人にはどんな感じで聞こえていたのでしょうか。


この章段では、頼政の退治は2回描かれています。一度目は鵺ではなく、「鳴く声が鵺のような怪物」で、二度目は「鵺」だと書いてあります。ほとんど同じような話なので、いろいろ語られているうちにまとめられちゃったのかなあ、という感じもします。夜な夜な天皇を病気にさせた原因はなんだったのでしょうね。現代の科学や医学なら原因を追求して病名をつけるのかもしれませんが、当時は怨霊や化け物のせいにされました。私達は作品を作る過程で、今は都会ではほとんど想像もつかないくらいの夜の闇を考えました。美術のトクマスさんは「今回のセットは闇!闇!」と言い放ち、照明の横原くんは「あいさん、これは怪奇現象ですか?精神的なものですか?」とか矢継ぎ早に尋問され、永田さんは「トラツグミの声ですか〜〜かわいいですねえ〜」いえ、コレかわいくないですから!という具合でどうなりますでしょうか。とてもお芝居っぽい章段だと思います。

冒頭の八重さんのように、得体の知れない化け物の意が転じて、得体の知れない人物を鵺いうようになったそうですが、実は頼政自身が得体の知れない人だったのかもしれません。能の「鵺」もそうした解釈で大変に面白い作品です。ググると頼政に関してはたくさん記事が出てきますので、ご存じない方は調べてみてはいかがでしょうか。

当日券もございますので、ぜひ劇場に観にいらして下さい!



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古典の言葉が躍動する!分かる!美しく衝撃的な舞台!
語り:金子あい × 波紋音:永田砂知子
「平家物語」第4回公演

【日時】10月22日(火) 19時開演
    10月23日(水)14時開演 / 19時開演 ※開場は開演の30分前

【上演演目】祇園精舎、鵼、奈良炎上、維盛都落、能登殿最期 (上演時間80分)

【出演】語り・金子あい、波紋音・永田砂知子

【会場】座・高円寺2 
杉並区高円寺北2-1-2 TEL: 03-3223-7500 http://za-koenji.jp/ JR中央線高円寺駅北口 徒歩5分

【料金】大人 前売3,700円/当日4,000円/高校生以下1,000円(全席自由)

※当日券は開演1時間前より販売。※高校生以下割引はアートユニットアイプラスのみで取扱。※未就学児のご入場はご遠慮下さい。 

【チケット取扱】
■art unit ai+(アートユニットアイプラス )TEL: 090-6707-1253 E-mail:auaplus@gmail.com
■イープラス http://eplus.jp/(PC・携帯)
■ちけっとぽーと TEL: 03-5561-7714(平日10:00〜18:00)http://www.ticketport.co.jp/
渋谷店(SHIBUYA109 2F)池袋店(池袋パルコ6F)銀座店(銀座ファイブ1F)東京店(大丸東京11F)新宿店(伊勢丹会館B1F)吉祥寺店(アトレ吉祥寺B1F)横浜店(横浜駅東口ポルタ)大宮店(ソニックシティホール)

【お問合せ】
■art unit ai+(アートユニットアイプラス )TEL: 090-6707-1253 E-mail:auaplus@gmail.com

【スタッフ】
構成・演出:金子あい 音楽:永田砂知子 美術:トクマスヒロミ 照明:横原由祐 音響:黒澤靖博 舞台監督:寅川英司+鴉屋 衣装:細田ひなこ 宣伝美術:aikaneko 協力:永田倶楽部 後援:杉並区 企画・制作: art unit ai+(アートユニットアイプラス)


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